七十二候の「涼風至」の日々は、青紫蘇を刈る、漬ける/旧7/13・辛亥

二十四節気の「立秋」とともに、七十二候は「涼風至(すずかぜいたる)」にはいりました。

暦の世界は、もう秋まっしぐら。
「涼しい風が立ち始める」の意味ですもの…しかし、リアルワールドは、夏真っ盛りで、ああ、暑い!
ふざけんなよぉ七十二候!!

…いや失礼。

ヒトは暑くて辟易でも、植物は日差しの恵みがうれしいらしい。

ベランダで育てた紫蘇が、ひときわ元気に育っています。

青紫蘇

紫の紫蘇は、梅干をつける時期だけ出回るものだというのに、青い紫蘇は、スーパーの棚では、ぺらぺらに薄いのが数枚いくらで年中売られています。
けれど、青紫蘇は本来夏から盛夏のもの。

独特の香のせいか虫もつきにくく丈夫で、世話もやかずにいても元気にバサバサと育ち、もう何枚も食卓用にいただいたというのにまだまだたくさん葉っぱをつけております。

紫蘇は、こうしてたくさんあると利用価値大な植物

ちまちまと買ってくる青紫蘇は、やはりちまちまと薬味なんかに使われるのみで面白くもありません。

しかし、こうしてたっぷり身近に育てば、利用価値は俄然多くなるもの。

たとえば、紫蘇はにんじんなどとおなじβカロチンの豊富な食物。
だから、油で炒めたり揚げたりするとビタミンAの吸収率が高まるというのが嬉しいところだったりします。

たとえば…。
・ざくざくと大振りに切って、油でざっと炒め、塩とバルサミコ酢なんかであえて食べるのは、夏の定番のおかずのひとつ。

・生姜や茗荷、ねぎなどとともに千切りにして、刺身にどさっと。
・おなじものを素麺にどさっと。

・にんにくの薄切りオリーブオイルでいため、匂いがたったら、紫蘇をどさっと。そのまま、パスタにあえて和風ぺペロンチーノ。

…もしや、この「どさっと」をしたいために紫蘇を育てているのかもしれません。

紫蘇は、古くから日本に自生するものですが、原産は中国。

紫という文字が示すとおり実は、梅干しに使う赤紫蘇が本来の種で青じそはその変種になるそうです。
が、毎年こうして育てていただくのは青紫蘇のほうが多い不思議。

赤紫蘇は、なんだか梅専用な気がしているからでしょうか?
実際、青紫蘇派が我がご近所には多いらしく、この季節、こぼれ種が育ったのか雑草に混じってのびのび育つ青紫蘇には良く出会いますが、赤紫蘇はまれです。

実は「立秋」の声を聴いたら、紫蘇の葉は全部収穫。

夏の入り口からさまざまに食らって楽しんだ青紫蘇も、「暦の上では今日は立秋」と聞けば、「涼風至(すずかぜいたる)」のうちに(~8月11日)葉っぱの多くを刈り取って塩漬けにする時期到来です。

ということで、さっそく収穫!

紫蘇収穫

紫蘇は、強い日差しにあてると葉っぱが固くなるので、日差しが強くなったら早々に収穫。
そして、そろそろお盆帰省の時期ともなれば、水やり問題も頭がイタイ。

それも収穫してしまえば、解決ですしね。

収穫後の紫蘇は…。

一晩塩水につけてあく抜きをしたら、底の浅い小ぶりのタッパーなどに紫蘇、塩、紫蘇、塩…と交互においてふたをして冷蔵庫へ。
あとで、梅を具に塩漬け紫蘇でくるんだおにぎりを作るのです。

ほらねこんな風。

夏おにぎり

あるいは、塩(少なめ)むずびでもいいかも。
漬けた紫蘇の塩っけでいただく「夏おにぎり」です。

朝に炊き立てのご飯で作っておけば、暑くて何も作りたくない昼間も、このおにぎりでしのげます。

お盆帰省の最中に枯れることを考えて、私は、思い切って刈ってしまいましたが、紫蘇は、そのままにしておけば、秋には小さい白い花をつけ紫蘇の実をつけます
それも佃煮などの食用になりますが、さすがに実をいただくのは、もっとたくさんの紫蘇が必要。
あるいは、しばし花をめでて楽しむという用途に使えますでしょうか。

・紫蘇は、葉っぱはこのようにして大いにいただき、葉っぱをもむと香りもよく。
・花穂紫蘇、穂紫蘇だって、和風料理のあしらいに欠かせないもの。
・実は、佃煮や塩漬けにしてご飯のともに。
もっと大量に作れば、紫蘇油にもなるし、よくよく考えてみれば、福神漬けに紫蘇の実がなかったらきっと気が抜けたかんじだろうね。

つまり、加工品としても利用価値大。

聞けば、漢方薬としても歴史が長いのだとか。

こんな雑草さながらに簡単に育ち、なんとまあ、働き者の食材であることでしょう。
しかも、今年の紫蘇は、苗で一鉢120円×3=360円

ああ、もとをとってあまりあるなぁ。

えらいぞ紫蘇!

◆今日は、2014年8月8日/旧暦7月13日/文月辛亥の日