徒歩5分圏内で、珍しいモノ見つけました。木通(あけび)です。/10/28=旧 閏9/5・壬申

東京では、なぜか名前は知られている。
秋には、時々、スーパーの棚に鎮座しているけど、食べたことはない。
逆に、気の利いた花屋さんには、時々、一枝がかなり高い値段で売られていたり…。

それが珍しいこともあるもので、東京都内のご近所で木通(あけび)の花を見つけたのが、確か初夏の頃だったでしょうか。
驚きのあまり写真を撮るのを忘れたのでコトバで説明いたしますと…。

あけびは、一株の樹に、全然カタチの違う二種類の花が咲く。

…って、雄花と雌花のカタチが違うんですけどね。
そこがすごく面白いのです。

三枚の花びらがパカッと開いてバナナのミニチュアみたいな雌しべが放射状についているのが雌花。
その傍らにちんまり相似形小型の雄花が纏まって咲く。

田舎育ちはその辺りに詳しく「しめしめこれってあけびじゃないの」と、花を眺めて実りの秋を楽しみにする。
…って正真正銘他人の庭ですので気まぐれに観察するってだけなんですが。

ちなみに、花が散れば、雌花のバナナのミニチュア雌しべが、そのまま大きくなって、この部分が実と育ってゆくのです。

バナナに似た雌しべが、膨らんでゆくのが梅雨の頃。

…なんですが、その状態は逃し、かなり大きくなったこれに気が付いたのは、9月上旬。

夏のあけびの実

暑い暑いと遠回りの外出をさけてるうちに、観察をショートカットしてしまいました。

そして、昨日通りかかったら、近所の木通(あけび)は、立派に紫色の実をつけておりました。

あけび

熟して口をあけるまで、もうすぐですね!
…って、もちろん見るだけなんですけどね。

お店で、ごくごく稀に売られているあけびは、つるんと閉じた紫の実ですがそれはまだまだ未熟なもの。
木になったまま熟させて、パカッと口をあけて黒い種を纏った白く半透明のゼリー質のようなものを食すのが本当の食べ方なんだそうです。

といっても、街に住めば、このお宅のように自らの庭に木通を育ててこそ味わえる贅沢です。

初めて食べたのは、今は昔の高尾山。

実は、田舎育ちの私も、初めてあけびをたべたのは成人して以降で、しかも、東京。

いまや、ミシュラン三ツ星扱いの高尾山も、かつては鄙びた登山道がつらなる小山。

その途中で売られていたのを思わす買って食べたのでした。

「熟して割れた格好が、“あくび”したようにみえるから、“あけび”っていうのよぉ」という売り子のおばちゃんの口上に惹かれました。

で、スーパーのあけびと違って、ちゃんとぱっかりあくびするように割れたひとつをいただく。

味は…。
実は、種をペッペッと吐き出すことに忙しく、ほんのり甘かったような…。
うーん、実は確かな記憶がありません。

それは、あけびの実が盛られていた籠のせいも?

育ってうっとうしいほどに他のものにまき付くあけびの蔓は、何度も実をつけつつ、古く大きく木のようになり、それは、古くから籠の材料などに使われてきました。
あけびの籠は野葡萄とともに、高級品として珍重されるひとつ。

そんな高級品のはずのモノが、山の道端に無造作に並らび、そこにあけびやキノコや、素性のわからない木の実とか…。
その野趣あふれた佇まいがものすごくステキだった。

今もあれらの山のめぐみは、同じように売られているのかしらん?
…と、すごく昔のことまで記憶がよみがえり、なんだかすごく気になってきました。
高尾山…いってみようか?
いやまさか(笑)。

さて、とりあえずは、ここ数日。
毎日ちょっと遠回りして、ご近所のあけびがあくびするまで、ひそかに観察することといたしましょうか。

◆今日は、2014年10月28日/旧暦 閏9月5日/長月壬申の日
◆日の出 5時59分 日の入16時51分/月の出 9時52分 月の入20時20分