ちょっと流行にのってみようかと『火花』…の前に『東京百景』を予習読了(笑)。

というコトで又吉直樹の『東京百景』 (ヨシモトブックス)読了!

東京百景

実は、近作にして、あまりに評判の『火花』を、そろそろ読んでみようかと、まずは書店へ向かい冒頭数ページを立ち読み。

(これは、小学校の時にうえつけられた本読みのMYルール。
自分が読みたい本かどうか確認するためにも購入前に冒頭1~2ページを読めと、センセイが言ったのをいまだ実行している。
ちなみに、もうひとつのMYルールは、図書館で借りて面白かったら買う。
…だが、『火花』の場合は、人気ありすぎてただいま待ち人1236人!それを待つ時間の方がもったいないので、このルールはあてはめられない。)

で、どうも『火花』は、冒頭から内容が頭に入ってこない。

何度も何度も読み返してみるが、どーもダメで断念。
もしや、立ち読みというスタイルが似合わないのか?

買っちゃおうかと逡巡するが、しかし、いったん書棚へ返す。

そして、あきらめきれず(この間のTV出演や雑誌のインタビューなどを垣間見るに、又吉氏の好きな作家が、私の好きな作家とかぶっているから、そのヒトの作品は面白いはず…と確信しはじめた)、ちょうど隣に並んでいた『東京百景』を買う。

…という、『東京百景』を紐解くまでに、何かやや歪んだ経緯があって鬱陶しくなるが、「又吉読みの素地作り」であるからしかたないであろう。

『東京百景』のほうは、めっぽう面白く、サクサクと読み終えてしまった。

…不思議だ、なんで?

『東京百景』とかいうけれど、そこに東京の地名は登場しても、おなじみの景色は、皆無であって、多くは又吉直樹氏の心象風景…みたいな感じ。
ふつう、この種の本を読んで、面白いっ!と思えば、その場へ足を運びたくなるものだけど、そうはならない。

行っても、そこに描かれた、やや鬱陶しげな思いや、ひそかに面白い事件、ほろ苦い結末…なんてのはないのであたりまえなのである。
…なのであるけど、東京の深夜のファミレスあたりで、誰かとずーっとこの本に描かれたコトをあれこれ話し続けてみたくはなる。

そんな本。

ちなみに、100話あるなかでいちばん好きな話は、63話の「池袋西口の地図」。
数多く登場する、おまわりさんから職務質問される話だけど、ラストのコトバになぜかグッときてしまった。

ということで、『火花』読みの素地は完璧かしら?
これから、やっぱり買いに行こうかと思います。

↓ああ、kindleバージョンが欲しいなと思ったけど、本書にはない。ぴったりなのになぁ。

↓ちゃんとkindle版があるのが素晴らしい。