出版社営業なんてとこに目を付けたら、さらに面白くなった書店ミステリィー。

書店員も編集者も、出版社の営業まで大活躍だった大崎梢さんのこの本を読んだら、さあて、次は何を読もうか。
と、つまりしばし大崎梢読書週間必至である。

で、書店で目についたコレ。
ほっほー!「井辻智紀の業務日誌シリーズ」の第二弾が出てたんだぁ!

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うっ、初版は2010年9月…好きな作家!とか言いながらまあ、どんだけご無沙汰だったんだろう。

主人公井辻智紀は、規模としては中の中、文芸書出版社としては老舗の明林書房の営業マン。
苗字の井辻をもじって「ひつじくん」とか呼ばれつつ、他社の先輩営業マンたちにいじられる様子も健在です。

この作家、もともとは書店員だった経歴を生かし「成風堂書店事件メモ」シリーズでデビュー。
そのまま人気を博し、実際そのシリーズが、今まであまり語られることがなかった書店員というシゴトへヒカリを当てた最初の小説…じゃあなかったと思う。

そこへ、今度は、本気で今まで誰も語らなかった気がする出版社の営業マンを主人公にしたひつじ(井辻)くんシリーズ登場。
いやぁ、やるなぁと思ったものです。

本を取り巻くシゴトの面白さって、作家、編集者あたりだともう当たり前、そこに書店員や出版社営業、そして、本の問屋でもある取次(とりつぎ)の話なんかも登場し、二重三重にも面白くなる。
これは、かつてそうゆう世界で長く働いていた私も重々実感してきた事実です。

さて、そんなコトをベースに、物語は、いつものようにミステリー仕立てで、読者も小さく謎解きしながらワクワクしつつ読み進む。
もちろん、おさめられた5作「ビターな挑戦者」「新刊ナイト」「背表紙は歌う」「君とぼくの待機会」「プロモーション・クイズ」とも、すべてささやかながら幸福なエンディングであって、そこも、大好きな本のごとく。
ちょっぴりココロを豊かにもするのです。