万城目学3作目は、京都の大学生たちのお話…かな?

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どうやって映像化するんだ?と思ったけど、映画になっても面白かった「鴨川ホルモー」
TVドラマにまでなった「鹿男あをによし」。

作者・万城目学氏の3作目は、荒唐無稽のデビュー作「鴨川ホルモー」の続編?
…と思ったが、前作と同時進行していたもうひとつの短編物語集で、私にとってはこっちがより好み。
マジで、京都で大学生活をしたいなぁ…と、思ってしまった。

舞台は京都の日常生活…しかも貧乏で悩み多き学生たちの京都っていうところが、面白いのだ。

さて、前作の「鴨川ホルモー」は、どんな話?と問われても。
このお話、ストーリーを説明するのが非常に難しい。
ひとことで言ってしまうと、京都の名だたる5つの大学(話はフィクションなのに、固有名詞は実名で登場、それが上手いと言える。だって京都だからね。)にそれぞれ懐古趣味かよ?とも思える名前の謎のサークルがあって、そのチームが総当たり戦にて、「ホルモー」という名の戦いに励む物語…なのだが…自分で読み返しても良くわかりませんね。

戦いの場所は、「鴨川」で、実際に戦うのは「鬼」だったりもする。
サークル員の面々が、鬼を鬼語で操って…そんな戦いが営々500年も続いている…という、いくらネタ晴らしをしようとしても、何がなんだか読まないヒトには意味不明の話ですね。

まあ、映画にもなったし、私が説明することもないか。

しかし、京都御所やら、八坂神社に上賀茂神社やら、葵祭りに「陰陽道」とか…私好みの日本のカミサマアイテム多数。
そもそも、「ホルモー」戦にしたって、なんかカミサマたちの気まぐれで続いていて…みたいなくだりがあって、伏線とか細部の面白さ満載、なにがなんだかわからないうちに夢中になってしまったのでした。

そして、「ホルモー六景」

前作に登場した主役はもちろん、ちょっとしか登場してない端役にいたるまで、ひとりひとりの周囲に巻き起こった物語を愛情こめて丁寧に語った珠玉作が六作。
どれも、古い寺社文化が空気のよう在る京都、そこで暮らす大学生たちのあれこれが描かれていて、興味深い…というより、うらやましい。
中でも、梶井基次郎と今は無き河原町の丸善京都店をモチーフとした話「もっちゃん」と、ジョーとクラークによる謎の英文書簡が登場する「同志社大学黄竜陣」がお気に入り。

京都の史跡、文学、歴史…と、ともかく、そろいもそろって私の興味の琴線に触れること多数。
読了直後に、また読書欲がムラムラと…って感じなのです。

その他の4景は、こんな話。

「鴨川(小)ホルモー」⇒二人静とあだ名された定子と彰子の小さなホルモー決闘の話。
ローマ風の休日⇒「鴨川ホルモー」の主要メンバー楠ふみちゃんが、京都の町を素材にした数学の問を解く。
丸の内サミット⇒新月の夜。大手町にある平将門の首塚から飛び出てくるものは?
長持の恋⇒信長の長持を経由して、現代と安土桃山時代との文通の話

…と、現代に昔エッセンスをうまく取り込む奇想天外な物語。しかし、こう見えて全部Boy meets girlのラブストーリーです。