掘り出し物の一冊!『東京バンドワゴン』

近所にありそうな家だわ。

…と、根津から千駄木にかけて行われる「一箱古本市」にて、表紙のこのイラストを眺めていたら…。

『東京バンドワゴン』1

「これより、半値にします。」とその箱の店主。

すかさず、価格を見れば200円とあり、「えーっ、じぁあ100円ですか?買いますっ!」

さっそく、近くのカフェにて読書。

タイトルの「東京バンドワゴン」は、三代つづく古書店(とそこに併設されたカフェ)の名前なのだとか。

場所は、東京の寺町…とあって、冒頭では「駅前の通りから道一本中に入り込めば、大人三人並んでいっぱいの狭い道路に古びた建物が軒をならべます。中には人一人、もしくは猫がすれ違うのがやっとの路地もあたりまえ。」
…だって。
やっぱ、近所っぽいなぁ、なんて思っているうちにどんどん引き込まれ、結局どんどん読み進んでしまった。

つつじで有名な神社があったり、バイクでサクッといける距離に神保町があったり…。
もう、小説の舞台が谷中あたりなのは疑いの余地はない。

でもそんなことより、ともかく面白い小説なのよコレが…。

100円で、こんなに価値あるお買い物もけっこう今時珍しいですよ。

古書店は、いまどき珍しい4世代家族。

江戸っ子気質バリバリの古書店店主勘一79歳の息子60歳が、金髪長髪のフウテンロッカー(しかし固定ファンもいるちょっと有名人)という組み合わせからしてもうワクワクさせる感じ。
で、もちろん期待を裏切らなかった。

さらに、数年前に亡くなった勘一の妻サチが、あの世にいかずに物語の狂言回しを演じているのも気が利いている。

てな感じで、登場人物のキャラクターがいちいち凝っていて、そんな彼らが勝手に関わりあってつむぎだした物語。
そんなイメージ。
破天荒なのに、本当に我が街のどこかにこの古書店&カフェがあるんじゃないかと思わせる。

いっきに読みきって、ああ、続きが読みたい。
と思って、作者の小路幸也で検索したら、続編が2つも出ている!!

図書館…うーん、貸し出し中の上に、そのあとに何人も予約希望者が…。
待ちきれないので、明日本屋に買いに行くことは必至。

ああ、タダより高いものは無いってこうゆうことね。
いや、タダじゃないんだけどね。
けど、こんなに面白くて100円とはただ同然、いや、タダより始末が悪いかも(笑)。