「立春」で、暦の上で春に入たというのに、大雪に振り回されているうち、もう半月。
二十四節気のほうは、「雨水」へと入ってしまいまいました。
「雨水」は、「あまみず」と読まずに「うすい」と読みますが、その文字から来るイメージどおりに、雪も氷も解けて、空から降る雪も雨に変わり、積もった雪や氷も解けだす頃という意味合い。
しかし、全国的に大雪だらけの今年は、「立春」から「雨水」へ、春へのカウントダウンもまだまだ暦の上の話といったところ。
…かなぁと思えば、ここ数日の雪で屋根に降り積もったのが、太陽の日差しで解けてしずくとなり、勢いづいて雨どいからはみ出て落ちるという光景に出くわしました。
これは、まぎれもなく、少し先に春が来ている証拠ですね。
さて、「雨水」の頃は、農耕の準備を始める目安の日ともされます。
南のほうなら、水もぬるみ、草木も芽を出し始め、まずは土壌や種、苗木の準備の季節でしょうが、東京地方は、まだまだ寒い日がこれから落とし穴のようにやってきそうです。
ベランダの古い植木鉢を片付けるなどして、本当に暖かくなる日を待つことにします。
ちょっと暦話「暦便覧」
この二十四節気。
それぞれの季節をあらわす単語の意味を探るのに、古くから頼りにされている非常に優れた参考書があります。
江戸時代に常陸宍戸藩(現在の茨城県中央部付近)の藩主だった松平頼救が隠居し「太玄斎」と号していたときに編纂した「暦便覧(こよみべんらん)」がそれ。
季節の移り変わりや暦について解説した書物で、1787年(天明7年)に著され、1798年(寛政10年)に再版されました。
二十四節気の解説が詳しく、たとえば「雨水」ならば、「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」とあるそうです。
現在、旧暦に関する書物の多くに書かれた二十四節気とその解説は、これを引用し、さらに現代語に訳して使っているもの。
「暦便覧」は、現存しますが貴重書で、国立国会図書館に天明7年版が、国立天文台図書室と静岡県立中央図書館に寛政10年版が収蔵されでいますが、もちろん、一般の人が手にとって読むのはなかなかに難しい。
いや、たとえ手にしたところで、当時の書物は流麗な墨文字で書かれ、それが読めるはずもなく。
なので、こちらの記載も、それを引用した多くの書物からの孫引き。
数冊引き合わせ、共通する文言を引用させていただいています。
◆今日は、2014年2月19日/旧暦1月20日/睦月辛酉の日