いやぁ、暑いですね。
暑すぎです。
「えっ!まだ梅雨の最中だった?」と思うぐらい暑いです。
こんな日々は、もう素麺なんかをつるつるっ~っといきたい。
さっそく買ってきまして、さあ、茹でて、どんな風に食べようかしら?
…とそういえば、この素麺。
お盆の精霊棚の笹のあたりに、ほおづきの実なんかといっしょに飾るんですが、あれってなんでなんで?
毎夏、適当に食べてるけれど、実は、深ーいいわれある尊い食べものだったりする?
…とか、素麺見ながら、にわかに気になったしだい。
っーことで、本日は素麺について、ちょっと真面目に調べさせていただきまして、のちに、ありがたがっていただくってコトにいたしました。
真面目に作られた素麺は、熟成3回。
毎年梅雨を越すたび名前が変わる…って知ってた?
手延べ素麺が作られるのは冬。
しかし、そこからヒトの口に入るまでがけっこう長い食べ物なんです。
基本、冬~翌年の梅雨まで寝かせるというのが本式のモノ。
そうしてやっと風味・食感を増す。
そして、素麺は、毎年梅雨を越すたびに、呼び名が少し変わる。
・「新物」は、その年の4月までに作り上げたものを梅雨越しさせ、都合半年ほど寝かせたもの。
・「古物(ひねもの)」は、「新物」をさらに1年寝かせ梅雨を2回越したもの。
・「大古物(おおひねもの)」は、追加でもう1年、梅雨を3回越したものという具合だそうです。
梅雨を越すのが寝かせる年数の目安になっているとは、つまり素麺は、新しい夏を迎えておいしさが増す食べ物。
いかにも夏の食べ物といったタイミングですね。
機会があったら「大古物」を、いただきたいなとは思いますが…とりあえず、耳学問で止めとこうと思います。(←つまりけっこうお高い)
旧暦時代の七夕のお供え物だったというルーツもあり!
熟成サイクルのタイミングが夏だったからかどうなのか。
七夕の節句に、素麺をいただくのが決まり!と思っているふしがある。
なぜだろう?
いつもこのブログの参考書にしている『日本年中行事辞典』鈴木 棠三著 角川書店より←日本全国の主な年中行事が解説されてておススメ)などを紐解けば…。
すでに、七夕の節句に素麺を供えるというのは、平安時代の宮中にルーツをみるほど古くからのしきたりだったみたい。
やっぱりな。
・「七夕の御節供(おんせつく)」の項に曰く、
<七月七日に瘧(おこり)除けのまじないとして索餅(さくべい)を主上に献じた>と。
ちなみに、瘧(おこり)は、今で言うマラリア熱、間歇的に高熱が出る症状ですね。
・続いて「索餅」の説明、
<小麦と米の粉を練って、細く紐状にしたのを縄のように二本ない合わせた菓子>であると。(⇒こんなお菓子ですね。「索餅」で、画像検索したらこんなにたくさん!)
そして、一般的には、「索餅」=素麺のルーツとなる説は有力で、実は、現代でも神社の供物のひとつとして用いられ続けている由緒正しい食べ物とも聞きます。
この項の最後にも、<後世もそうめんを贈りあったり食したりするのは「索餅」のなごりでもあるとされている>とちゃんと記されてる。
ふーむ、古くはまじないのアイテムだったわけかぁ。
どちらにしても、七夕&素麺は、歴史と由緒を背負った組み合わせみたいです。
江戸時代にも「七夕に素麺」は健在…というより大いに広まる
大奥の風習をはじめ武家の奥方の暮らしに憧れ⇒真似して…と、他の行事と同様、七夕の行事じたいが庶民の間に広まった江戸時代。
当然のように「七夕に素麺」も庶民にとって欠かせないものとなっていきました。
確かに、細い素麺を「機織りの糸」に、さっと茹でて水に放したものは、天に流れる「天の川」にも見立てが可能。
加えて、原材料の小麦の収穫をカミサマに報告し、感謝するためにお供えするという位置づけもあったんでしょうね。
そして、かつて、七夕はお盆に入る日でもあって、精霊棚に素麺を供えるというコトとここでつながるというわけです。
食欲のなくなる暑い季節に、ほしくなるもうひとつの理由。
素麺じたいの栄養価を調べてみると、仮に、七夕のお供えでなかったとしても、暑い時期に欠かせない食べ物の座を占めるに何の不足もないたべものであったはずです。
素麺は、いっけん淡白なイメージを持つ食べものなのに、グルテンと呼ばれる植物タンパク質が豊富な栄養価が高いたべもの。
仮に、毎日、素麺ばっかりつるつる~っといっても、夏ばて対策になっていたかもしれません。
さて、とそれではいただきましょうか。
現在、手延べ素麺の多くは西日本産が多勢。
その中から、産地にこだわり違ったものを物色してゆくと、中身も、時にそのパッケージのデザインもなかなかの懲りようになったりします。
ってことで、第一弾は、小豆島の「手延べそうめん」です。(←つまり第二弾もある?)
涼しげな波頭を背景におどる「手延べそうめん」の墨文字が素敵です。
時期は過ぎましたが、せっかくなんで、七夕飾りを気取って夜空に見せてからいただきましょうか。