チームバチスタシリーズのスピンアウト短編集は、結局、本編シリーズ再読へと誘ってくれちゃう危険すぎる面白さです。

海堂尊の超人気シリーズ玉村警部補の災難』 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)を読了。

海堂尊玉村警部補の災難

書店で文庫が出ているのを発見し、そーいえば!と我が書棚を探したらあったのである。
これは、処分し、文庫を買おうか…と指南しているうち、読み始め、嵌る。

このシリーズの欠点は、読み始めてしまうと、とにかく物語にとらわれてしまい、休みなく全部読み通したくなるコトにある。
まあ、平たく言っちゃうと、めっちゃ面白いってコトなんですけどね(笑)。

本書は、『チーム・バチスタの栄光』に始まった、ロングランシリーズのスピンアウト短編集。

シリーズでは、脇役のくせに癖と存在感ありまくりの加納警視正と、彼に振り回されまくる玉村警部補が主人公。

バチスタシリーズの主人公不定愁訴外来の医師・田口公平はもちろん、全編登場するし、厚生労働省の役人(なんだが、強烈な個性すぎて役人臭が感じられない)白鳥圭輔も(用もなさそうなのに)登場する(が活躍もする)。

そんなわけで、本書にはまりまくって読み進むうち、なんかこう、バチスタシリーズの本編がちらちら語られたり、シンボル的なアイテムが登場したり…。

ちょっと辞めてよ!
もう一回全部読み返したくなるじゃあないかっ!

…となる。

ご丁寧に、巻末には、バチスタシリーズの舞台である桜宮市の年表が存在し、事件どころか、作品群まで時系列に並べられる念の入れよう
…って、つまり、最初から、全編再読を狙ってるのか?

もちろん、このシリーズ。
出版されたものは、もれなく読んでいるようですが(年表+本書は2012年刊なんで、ネットにて確認)、面白すぎるエンターテイメント小説って、一読目は、ついつい、次はどうなる?その次は?
…と、筋を追っちゃう(というか追われる?)もんで、ちょっと記憶があやふやなんだなぁ。

で、読みたくなってますって、ああ、たいへんっ!

本書を読んで深く理解したのは、面白すぎるシリーズ小説のスピンアウト版って、危険すぎるってコトですね。

文庫が出てるので、その危険具合を確かめてみるのも一興ですか(笑)。