毎月18日は浅草観音様のご縁日。そしてその10月バージョンは菊供養会。楽しい「菊とっかえ」に龍も来るよ/10/18=旧9/6・丁卯

毎月18日は、観音さまのご縁日。
そして、10月18日は、菊供養会です。

これは、浅草観音さまの重陽に節供として、明治31年(1898年)からずーっと続いているらしく。
もちろん、かつては、ちゃんと旧暦9月9日に行っていたみたい。
10月18日に変えられたのは戦後で、観音さまのご縁日のうち旧暦9月9日にいちばん近い日だから、という理由らしいです。

新暦はまだ夏のさなか、やっと今ごろ、菊の盛りに入って…まあ、新暦9月9日=重陽の節供ってかなり無理ありまくりですから
これは、ちょうど良い日付設定じゃあないでしょうか?

ってコトで…。

秋のらしく装った仲見世をつっきり
浅草寺の境内を入ると菊が売られている一角が!

なんか、残り少なくなってるような…。

すかさず、一束Get!

菊供養の菊

今日は、この菊の花がないと、菊供養ができずじまいなんで、ああ、よかったですっ!

浅草寺の菊供養の作法は、「菊とっかえ」の供養。

って何?

ざっくり言ってしまえば、境内の露店で菊を求め、観音様にお供えし、代わりに他の菊をいただいて帰るというスタイルの供養。
通称「菊とっかえ」ともいうらしい。

…ふふふっ、この呼び名は、いかにも庶民信仰の浅草寺らしくて好きですね。

菊供養会の手順を少し詳しく説明すると…。

1.境内で求めた黄色い小菊を本堂前の香炉の煙にかざす。

これは、はじめて「菊とっかえ」をしたとき、バタバタと拝殿に向かう私をわざわざ呼び止めた地元の方に教えていただいた作法。
その後、いろいろ調べてみましたが、どこにも書かれておりません。
なおかつ、境内でそんな風にしている方に会うこともなく…。

が、以降、私は必ずそのようにさせていただいております。
ただし、菊の花がしおれるのもなんなのでささっと軽く。

2.その菊をもって、観音さまにご挨拶しに拝殿へ。

お賽銭箱の前で、まず観音さまに手を併せ。
背後では、今日も柏手を打つ音が聞こえてきます…浅草寺は仏教の寺ですので、柏手は不要ですが(笑)。

3.そのまま、向かって右手の入口から内陣へ。

参拝者のどなたかが先に納めた夥しい数の黄色い菊が三方に載せられ、待っててくれます。
そんだけ菊が集まれば、菊の香があたりに漂い、なんか落ち着く空間になっている。
ああ、いいなぁ~。

4.持参した小菊の束をそこに納め、僧侶の方から別の小菊をいただきます

この、他の参詣者が奉納したものを交換するという参加型の供養の仕方が、少しリクリェーション的な雰囲気で楽しい。
しかも、一度、観音さまにお供えした下供菊なので、ご利益だってついてくる。

5.内陣で、もう一度観音像にお参りをする。

内陣では、きちんとご焼香させていただくことができ、それもうれしい。
観音さまいらっしゃる厨子の前に(秘仏ですからお姿は見えません)、菊の花が一輪ずつ盛られた仏器が、ちょんちょんと並び可愛らしい。
もちろん、そんなところでカメラを取り出すこともできず…どうぞ、その可愛さは想像ください。

「菊とっかえ」をした菊は、もう観音さまのご利益が乗った縁起物です。

いただいた、菊はそのまま大切に持ち帰ります。
もちろん、飾るだけでなく用途多数。

例えば…。

・乾燥させて枕に入れれば頭痛をはじめとした病気除け
・銭箱に入れれば小遣い銭にこまらない…って、銭函はないから、貯金箱に忍ばせようか?
・さらに逆縁の不幸もきっちり避けてくださるんだそうです。

重陽の節句に観音様の縁日がダブルで来たって感じの、盛りだくさんなご利益。
さすがだわぁ~!

そして、枯れても捨てずに、大晦日がきたら、お焚き上げの代わりに火鉢にくべるかどんと焼きで供養するのだそうです。
ああ、火鉢にくべるほうをやってみたいなぁ。
(無理だけど)

さてさて、菊供養会には、華やかな催しもいろいろ。
金の龍だって登場します!

首尾よく「菊とっかえ」を終えたなら、しばし、浅草寺を堪能しましょう。
あっちへふらふらこっちへ寄り道などしていれば、龍がひょいと登場しますよ!

龍

菊供養会では「金龍の舞」が奉演、これも見逃せない…というか一度は必ず見ておきたい菊供養の行事。

この舞は、浅草寺に三つある寺舞のひとつで、長さ18メートル、約88キロもある龍をたった8人で支え、あたかも本物の龍が舞っているかのように操作擦るってところが見どころその1。

龍

そして、龍の背後には、お囃子が乗った山車やら、一緒に乗った浅草界隈の芸者さんたちやら…もう華やかな目の保養がその2。
…って感じ。

「菊之御守」も、忘れずに授与いただき、
さあ帰るかな。

「菊之御守」は、菊の葉っぱの意匠が珍しいお守り。

「菊之御守」

これは、今日の菊供養会の日にしか授与いただけません。

ちなみに、中央には「具一切功徳 慈眼視衆生 福聚海無量 是故応頂礼」と書かれてあって、これは「観音経」の一節。
なんか非常にありがたい気分満載にて、ほくほくと、家路につくのであります。

浅草寺境内には、ささやかながら菊花展の催しもあって、なかなか盛りだくさんな一日になりそうですよ。

◆今日は、2015年10月18日/旧暦9月6日/長月丁卯の日
◆日の出5時49分 日の入17時03分/月の出10時13分 月の入20時42分