上野の不忍の池のほとりでは、時々骨董市が開催される。
夏のある日、蓮のひとり定点観測撮影会・雨天決行(参加者、もちろん私のみ!)
…のついでにそのあたりをぶらつくと、テントの屋根から滴り落ちる水滴を受けつつこの花が一輪咲いていた。
1個500円。
というので求めようとすると、奥のほうから、まだドロドロに汚れたそれがゾロゾロ出てきた。
「まだ掘り出したばかりで汚いけど、ハイターできるから」というので、少し安くしてもらって4個買った。
日曜にキッチンハイターを濃いめ溶かした水に漬け込み、今朝見たらこんなにきれいに。
テーブルのへりに並べて遊んでいたら、ある大好きな物語の美しいシーンを思い出した。
梨木香歩という作家が書いた『からくりからくさ』という物語。
若い女性が4人で古い日本家屋に住む話。
主人公の一人が染色の仕事をしていることもあって、草木の話がふんだんに出てくることが、この物語をとても大切に思う理由のひとつ。
庭の雑草を素材に食事を作るエピソードがあって、ふと目を離すと、本日食卓にのせるはずの雑草で丸テーブルが飾られてるシーン。
そこがことに好きだ。
白いテーブルクロスの上に丸く並べられた「白のハルジョン」、「淡紅のハルジョン」、「蛇苺の実」、「露草」、「カラスノエンドウ」…。
思い出したのはこのシーンだ。
そして、今日はその『からくりからくさ 』(新潮文庫)を持って外出したのだ。