6(ろく)月2(に=じ)日は、路(ろ)地(じ)の日です。また語呂合わせ/旧5/5・甲辰

今日は、路地の日。

へぇえ~、そんな記念日があるんだぁ。

…と感心していたら「六=ろ、二=じ」の完璧なる語呂合わせなんだそうで、〝昔、この日に路地がどうした〟的な「路地」の輝かしい歴史がその背景に横たわっているみたいなことではないようです。

いったいこんなすばらしい日を作ったのはどこの誰だろうか?

しかし、語呂合わせであろうとなんであろうと、記念される対象が「路地」なのは、なかなかに目の付け所が良い。
路地ならば、我が谷中千駄木根津、上野界隈だってまけていないが、どんな下町の方なのか?
…と、調べてみたら、、なんと出所は、長野県下諏訪町だとか。

その町には「路地を歩く会」という、なんだか非常に魅力的な響きを持つ会があって、路地の良さを見直そうと制定したんだそうです。

下諏訪町は、日本橋と草津宿をつなぎ東海道に合流する「中山道」に、日本橋から内藤新宿、八王子、甲府経由ルートの「甲州街道」が分岐する地点。かつて、五街道のうち二つが出会う場所ということもあって、宿場町として大きな賑わいを見せ、また諏訪大社の門前町としても栄えた由緒ある町だそうです。

グーグルマップを貼ってみました。
142号線が中山道、20号線が甲州街道、確かにばっちりふたつの道が出会ってますね。


大きな地図で見る

ガイドブックなど紐解けば、今もその当時の記憶が残っている気配濃厚。
趣き深い古き良き町の情報が繰り広がっています。

たとえばそれは、大名など身分の高い人用の宿舎である本陣宿の建物が残っていたり、それに連なる現役の旅館も古い概観を維持したまま。
加えて、下諏訪町は、明治時代の生糸産業の勃興地でもあつて、宿場町の賑わいが日本の近代化によっても廃れることがなかった。

だからといって、高度経済成長の波にも、荒らされることなく古い良さが残されている。
写真や地図を眺めているだけでも、そこに行ってみたいという要素満載で、きっと、探検したくなる「路地」にだって事欠かなさそう。

なるほど、「路地の日」を提唱するのに遜色ない町です。

意外にしらべたことがなかった「路地」の意味

「路地」の正しい定義ってあるんでしょうか?
一応、辞書を引くと…。

家と家との間の狭い通路。
町の主要な道路=表通りに面していない所、なんだとか。

そして、その路地の奥のほうを「路地裏」と言う…とあります。

加えて、「路地」は、家々が密集し街が作られてゆくにしたがってやや自然発生的にできた道というイメージもあって、つまり、どんなチカラあるデベロッパーも、優秀な街の設計者たちにも路地はけっして作れない。
仮に計画的に作ろうとした時点で、それはあっさり単なる「小道」でしかなく、その小道に沿って人が移り住み、長く暮らし、暮らしにあわせて小道を彩り、やがてコミュニティーをつくって…そうして、そこはやっと「路地」になる。

ふふんなるほど、人為的に「路地」を作るのは不可能ってことです。

そうゆうところに、なんだか小気味良さを感じてしまうのは、やっぱり路地をそぞろ歩いて目にし耳にするものたち…。

我がご近所、谷中千駄木根津から上野の路地自慢をしてみましょうか

たとえば、狭い軒下に並んだ植木鉢の無秩序な秩序とか。
…いや、コレは、かえっておしゃれな統一感かしら?

20100521桜木町の路地2

とんでもないところに張り出した窓やら扉やらのやや謎めいた興味深さとか。

千駄木路地2008

あの突き当りの窓から、この路地行く人を人知れず見渡せるんです。ちょっと住んでみたいです(笑)。

こんな風にカフェコーナーを作って今風にしても、いまだに醤油・味噌を貸し借りする声なんかいきかいそう。

20091019桜木町の路地

時々ぼんやり歩いていても、路地のくたびれたアスファルトにのびのび描いた子供たちのいたずらがきに遭遇し、それは、不意に出会った路地のアート。
これらすべてが、案外、日々「心の栄養」になって、人の生活には欠かせないと思う。

一方、それを根こそぎ更地にでもして、デベロッパーによる、便利と清潔さだけの「街づくり」をするというのは、なんだかちょっとうそ臭い。

ある日、路地を行き、丹精された花々に、「きれいですね」と、ついよそ者であることを忘れて声などかければ、「少しもって行きますか」などと返される。
そのまま、界隈の昔話についつい引き込まれて、いつの間にか、コンクリートの隙間に生えた雑草とりを手伝っていました。

あっ、猫がいます。我がモノ顔して通り過ぎてゆきます。

20100521桜木町の路地

同じ街中だというのに、思えば、路地には、表通りと違った空気と時間が流れていて、人は路地に守られているかのようです。
山も川ものっぱらも少ない、東京の様な、人工的な場所に、人間が住んでもこうして元気でいられるのは、やっぱり自然に生じた「路地」があるからなんじゃないか。

…そんな風にも思えてくる。
路地の日って、記念日は、なんだかとってもステキですね。

◆今日は、2014年6月2日/旧暦5月5日/皐月甲辰の日