7月27日は、スイカの日なんだそうです。
その理由は、グリーンに黒の、スイカの縞々模様。
…??
その縞模様を網に見立てて「つ=2、な=7」で27日…と、いつも以上に厳しい語呂合わっていうか、こじつけなんですが、なんかそのやりすぎがかえって微笑ましいです。
とうとう、やってきました夏本番。
暑い陽射しの日がつづくが、世間は学校の夏休みでもある。
「へぇ~今日は、スイカの日なんだぁ」
と、知ったとたん、能天気にひんやり瑞々しいスイカを思い出し、何も考えずに、それをワシワシ食べたくなるというものです。
やっぱり、「スイカの日」は、今ごろじゃないと話にならない気もするし、こじつけるべき、なかなかによいセレクションかもしれません。
たった一度だけ遭遇した、切り分けスイカ売り(?)
ある年のこと。
冷えたスイカを、客の前でざくざく音を立てて切り分けながら
「さあ一切れ200円、200円!もってってもってって」
…と、むかし懐かし、八百屋のおじさんのだみ声が響く。
店先には、ビールケースをひっくり返した椅子がならび、そこでさっそくかぶりつく客。
美味しそうです。
足元には、食べつつ飛ばした種が散らばり、アスファルトに黒いドット模様を描いています。
小分けにされたスイカは、切った端から、ビニール袋に入れられて、持ち帰り用に冷蔵ショウケースに並べられ、それもどんどん買われてゆきました。
たった一度そんな粋なスイカの売り方をしている八百屋に遭遇、もちろん、私もあわててひとつお持ち帰りしました。
もうすでに、きりっと冷えたそのスイカは、その店先でかぶりついたらざぞかし旨いだろうなぁという気を放ち、それを無理やり我慢して家に帰った。
なんか急ぎの用でもあったんだっけ?
「ああ、早く食べたい、食べたい」と思いながら家路を急いだ記憶まで、夏になればいつでもありありとよみがえります。
スイカは、大勢で食べるのでなければ丸ごと買うのが難しいけれど、やっぱり野菜も果物も丸ごと買うのが良いと思う私。
だから、切ったスイカがスーパーの棚に並んでいてももちろん興味はわきません。
しかし、あのスイカは売り方は絶妙、味も絶品だった。
それから毎夏、そのお店があった下町あたりをうろうろしますが、なぜか幻だったかのように消えていて、実はその八百屋にすら、いまだ再会を果たしていません。
むぎわら帽子に虫かごとむしとり網…とスイカ。
カブトムシを取った子は英雄で、スイカの皮は、そのカブトムシの好物だったねぇ。
スイカの種を食べると、盲腸になるとかいわれ、だから縁側に座ってスイカを食べて種をせっせと庭に飛ばした。
そしたら、翌年そこからスイカが芽を出し、ミニチュアみたいなスイカがたくさんなったっけ。
熟れたスイカは、ことのほか甘く、あっさり麦茶が美味しかった。
おなかが満たされ、そのままいつしか深い軒が日影を作る縁側で昼寝。
手といい足といい、もぞもぞ動くものがやってきて、飛び起きれば、蟻がスイカの汁をめざして連なってたっていた。
スイカという単語ひとつで、そんなスイカをめぐる夏の思い出は、果てしなく限りなく沸いてきます。
そこにあの幻の八百屋さんのだみ声と、店先に並んだ、切り口みずみずしいスイカの記憶もそっと加えて、暑くすごしにくいキライな夏が、まんざらでもないなぁと思うのも今日のスイカの日の効用でしょうか。
スイカの故郷は南アフリカはエジプトあたり
エジプト→中国経由で日本に入ってきたのは17世紀ごろの江戸時代です。
スイカは、西のかなた方渡ってきたから「西瓜」って呼ばれるんですね。
初めてスイカを割ってみた日本人は、その外からは想像もできない真っ赤な実に、まずはことのほかおどろいて、はじめは「生首を想像させる」と、スイカは嫌われものだったそうです。
しかし、その美味しさに勝るものなし。
ほどなく、夏の江戸には、スイカ売りもちゃんと現れ、ほかの売り物と同様、独特の口上にて売り歩くようになりました。
スイカが今のように甘くなったのは品種改良を重ねた明治時代以降だそうで、塩をかけて甘さを引き出す食べ方は甘さの少なかった時代の発明。
それでも今もそうしてスイカを食べますよね。
甘さが少なかったとしても、今のように豊富に甘いものがなかった時代。
冷やせば、やっぱり甘く、おやつとしての存在感もあっただろうし、これは食わなきゃ損ということになったのかどうかは知らないけれど、まずは、庶民が食べ始め、やがて、大名なども食べ始めるようになったのだとか。
ああ、そのまま禁忌スイカとかにならなくてよかったよかったと心底深く感謝します。
さて、近ごろのスイカ。
不作なんだろうか?それとも単純な物価高?
なんだか、毎夏、価格高騰が続いているような気がします。
今日がスイカの日だからといって特別セールがあるわけでもない。
ちぇっ、そうなのよね~。
ああ、スイカの赤は、夏の色だねぇ…などとのんきに眺め、汗をかきかき、あっという間にどんどん食べる。
…みたいな夏の日。
一回ぐらいは体験してみたいなぁと思うのであります。
◆今日は、2014年7月27日/旧暦7月1日/文月己亥の日/新月!←新しいコトをはじめる好機!!