なんか老け顔のヒトが、大学の団旗を背景に応援?
…表紙の応援団風景からしてそうなんだけど、『あすなろ三三七拍子』は、潰れかかった大学の応援団を救うため、45歳のサラリーマンが、社命で社会人入学→出向扱いで応援団長になるというありえない設定の話。
書店で、「あっ!重松清の新刊だっ!」と手に取って、「ええっ応援団?!」と、正直、思いっきり腰が引けた。
引けながらもパラパラと立ち読みすれば…。
45歳のおっさんに「常に学ラン着用」…って、あまりにも似合わなそう。
「返事は“押忍!”」って、前近代的っ!
「先輩の言うことは絶対」というOBは、そろいもそろって、強面かつがらが悪そう。
しかし、なにせ『とんび』 (角川文庫)をはじめ、さまざまに読者を泣かせてきた、重松清でもある。
読者を悪いようにはしないだろう…と買う&読む。
とそれが、じわじわ面白いのである。
なんどもしみじみ泣いた。
出版された、2010年の春のことである。
ってことで、7月から始まったドラマも大いに楽しみにしてなのだけど…うーん。
なんか、こんなだったかなあ…。
と、またも気になり、我が書棚を探すとあった。
なぜかあるというのが、我が書棚の困ったところ。
(探す過程で、本棚がさらなるカオスになりまして…。読んだら即、古書店へ持ってゆこうとココロの片隅で思いつつ再読!→売りましたが、結局文庫を買いそうです。)
「応援とは、そもそもが傲慢なことなんだ。すでに頑張っているヒトにさらにがんばれというんだからな」という、応援団OBのセリフが登場するあたりから、じんわりじわじわ、続出する感動的なセリフやシーンに、やはり自然とむせび泣く。
寄せ集めみたいな応援団のメンバーも、何かと世話をやく主人公と同世代のOBたち、その勘違いはなはだしく見えるガラの悪さとおじさんたちの純情。
挟まれるエピソードも(とりあえず4作目までは、)みーんなみーんなTVドラマは忠実に作っているのに、ああ、こうゆう物語を、実写にしてしまう危うさってのがあるのだなぁ。
…と真面目に思う。
ドラマを観て、つまんない!
ガラが悪いのは嫌い!
と思っても、原作の方は読むべきだなぁと思った一作。
ちなみに、私は単行本を読んだけど、今から読むなら、文庫がおススメ。特に下巻の巻末に収録された重松清本人による(解説的)あとがきがグッとくる。
だいたい、なんだって、こんな奇抜な設定の話に手をだした?とかの裏話が垣間見えておススメ。
単行本で読んじゃったなら、文庫下巻のあとがきだけでもよんでみよう!