発掘本(=しつこいですが、好きな作家の本なのに未読だった本)にかまけ、メインストリーム(=新刊)を読むのが遅くなりました。
『東京バンドワゴン』シリーズ9作目(おおっ!もう9作かぁ)を読了。
小路幸也氏のネタの引き出しの広さや、設定のバリエーションを楽しむのもいいけれど、やっぱ、いつもと同じひとがちゃんといて、同じようにあったかなお節介で物語が構成される。
こうゆう繰り返しって好きだなぁ…と思う。
物語は、いつものように、数年前にこの世を去った堀田家のおばあちゃんサチさんも語りで始まるのも一緒だし、
下町の老舗古書店「東京バンドワゴン」に、なぜだかちょっとだけ不思議な謎が舞い込んで、堀田家の面々が解き明かすというプチ・ミステリィ仕立ての展開も同じ。
ただし、登場人物たちは、少しずつ成長し、シリーズ1では、小学生だったか花陽は高校生、研人は、もう中学3年生。
つい最近生まれたばかりと思った、鈴花&かんなちゃんたちは、幼稚園へと。
この手の長寿シリーズにありがちな、登場人物たちの成長が遅い(止まる)というコトもなくて、作品が生み出されてからの長さに併せて、みんな成長してゆくのも、「東京バンドワゴン」シリーズの特長。
だから、ずーっとは続かないんだろうなぁと、思い始めたのは、シリーズ7作目あたりから。
どこかでうっすら思うから、よりいっそういとおしむように読むことになる。
本作でも、「LOVEだねぇ」の、伝説のロッカー我南人の活躍もますますさえて、この登場人物が、大家族の普通を、ちょっと不思議なテイストに味付けしてくれているのも、好きなところ。
ああ、これを書いたら、もう一回最初から読もうかなぁ…。
◆マメ知識もどき
堀田家の大家族図です。
これがないと、上のレビューも不親切かと、一応、存命家族の方のみを書き出しました。
これ以外にも、店の常連さんとか、親戚とかが、物語のはじまった当初からどんどん登場人物が増えて、いまや、ときどき???となります。
祖父 堀田幹一(古書店店主)
↓
息子 堀田我南人
↓
長女藍子(カフェ担当&画家)+夫・マードック(英国人日本画家)→長女・花陽(マードック氏は義父)
長男紺(古書店担当&作家)+妻・亜美(カフェ店主)→長男・研人、長女・かんな
次男青(古書店の跡継ぎ)+妻・すずみ(古書店担当)→長女・鈴花