芝大神宮の超有名な縁起物「千木箱」/旧暦8/23・庚寅

9月11日から始まっている、芝大神宮の「だらだら祭り」

縁起物の葉生姜をもとめに行こう行こう、行かなくちゃ!
と思いつつも、だらだらと今日まで訪ねておりません。

うーん。

とうとう本日9月16日はクライマックス。
氏子の皆様が街を上げてわっしょいわっしょい神輿を担ぐ当日で、今年は平日とはいえ、やっぱり混むのでしょうねぇ…。

神社じたいが大好きで、普段森閑としたその場所が賑わうお祭りも好き。

…ですが、どちらかといえば、お守りやら、祭りや縁日限定の縁起物のほうに興味あり。
で、混み合っている神社界隈というのも…あんまし。

いやすみません。

…でもな、「千木箱の実演」は今日だけだし…と、思い立ちちょっと出かけるモチベーションが高まった朝です。

芝大神宮の例大祭ポスター
(平成24年の芝大神宮の例大祭ポスターより。黄色い矢印が差しているのが、「千木箱の実演」光景)

芝大神宮の超有名縁起物「千木箱(ちぎばこ)」って知ってます?

先にお見せしましょうね。
これです。

千木箱横

白木に白・紫・緑で藤の絵が爽やかに描かれた、小さな弁当箱風の三段がさね。

大中小を麦わらの縒り紐できっちりと括りその結び目だけがチカラ強い感じの箱です。

千木箱上から

中に2~3粒かの煎豆が入っているらしく、振るとカラカラ乾いた音がするのが、ちょっと素敵。

素材は、檜のへぎ材。
小判形の曲物容器、絵具は泥絵具らしいです。

「千木箱」のご利益も、めっぽうたくさんありまして…。

その1.このままこれを天井に吊るしておくと雷除け・地震除け。

中の豆を食べれば落雷からまぬがれるとも言われていますが、つまりこの箱あけていいんだ?

もったいなくて、そんなことはできませけどね。

その2.箪笥の中に入れれば着物が増えるなんて、断捨離時代にはむかうようなご利益もあり

「千木」=「千着」という、江戸人とくいの語呂合わせがそもそもの始まりのようです。
そして、江戸人の好きな歌舞伎役者もそのご利益に一役をかった。
歌舞伎役者の舞台衣装が増える=役者として売れるということで、新人役者は、これをもとめるのが決まりみたいな時代もあったそうです。

今の歌舞伎役者さんたちがどうなんだろう?

私は、日々断捨離中にて、「千木箱」を箪笥にいれるなんて怖くてできませんけどね(笑)。

その3.これを持っていると良縁にめぐまれる。

このご利益は、現代に入ってからくわえられたものと推定。
カタチの可愛さに、そんなご利益が付いて、いっときTVや雑誌で大人気。
女子を中心に買い求められ、一時期は入手困難になったという、逸話つきでもあります。

カタチのルーツの方由緒正しき、カミサマへのお供えの器

「千木」は、神社の屋根を見上げると、その両端で×型に交差している部分があってその装飾の名称。
千木箱は、その千木の余材を使ってつくったからこの名がついたとも言われ、もとは、祭りの日に、神前に供えた秋の収穫物を盛る器の形がルーツ。

それが小型化してこの縁起物の形となったんだとか。

だらだら祭りの祭期中、神前にももちろん大きな千木箱がおかれ、中には栗・松茸・アケビなどなど。
秋の恵みがたっぷり盛られて、感謝の意味でカミサマ方にささげられます。

芝大神宮は、伊勢神宮と同じく、天照大神と豊受大神をお祀りする場所。
だから、小さいながらも「千木箱」は、その偉大なるおふたりのカミサマとおそろいの器でもあるわけですね。

となれば、中に入っているだろういり豆は、供える収穫物の見立てでしょうか?

かつて、「葉生姜」「千木箱」は、参道露店のメインストリーム

江戸から明治期ぐらいまでは、生姜と同じく、「千木箱」は、だらだら祭りのみの縁起物。
参拝客目当てに、参道には「千木箱」売りの露店がずらり並んだそうなのです。

いつもの『守貞漫稿』(『近世風俗志(守貞謾稿)〈4〉』 (岩波文庫) 喜田川守貞著 )で探してみたら、挿絵も小さく描かれていました(P253)。

昔の千木箱

…ちょっと今のと違いますね。

挿絵が墨一色にて描かれているので色合いまではわかりませんが、藤の花を描いた風の絵をじーっと見ると「ふじ」という文字が浮かんでくる

隠し絵風になってますっ!

うっ、これ欲しいなぁ~!!
隠し絵という、ささやかな工夫がとっても日本、というより江戸人ぽくて、一見の価値ありだわぁ…と、とにかく惹かれまくります。

なんかの記念に一瞬でもいいので復刻していただけないかなぁ。
…ええっと、だらだら祭り開催○○○年とか?

って、何年続いているとおもってるんだろう私(笑)

さて、そうゆうカタチや売り方も、今はそれもたえて久しく。
現代は、社務所でのみ授与されるモノ。

だだし、「葉生姜」が祭りの期間中のみであるのに対し、「千木箱」は、基本1年中授与いただけます。
(不定期でやってくる人気爆発で、入手困難になる場合もありますが…)

それでも、やっぱり、縁起物は、祭りの時期を選んでいただいてきたいものですけどね。
ということで、今日は、千木箱を作る実演会と生姜を目当てに、芝までお参りに行ってきます。

◆今日は、2014年9月16日/旧暦8月23日/葉月庚寅/下弦の月
◆日の出5時24分 日の入17時48分/月の出23時02分 月の入12時29分