この宝船の絵。
買い求めたら、正月2日の夜、枕の下に敷いて寝る。
するとあらあら不思議、初夢は吉夢になるでしょう
…というお守りのようなものです。
これは、上野の杜にある花園神社にて正月かぎりに授与されるもの(初穂料は600円)。
粗末な一色刷りながらも、よくよく見れば、堂々たる富士を背景に、宝満載で沖へ行く船が描かれてる。
なんだか、躍動感に満ち満ちて、アクティブ系吉夢が見られそうです。
かつて、「宝船の絵」を売る「宝船売り」がやってきた
今は、特定の神社などで細々と受け継がれている「宝船の絵」ですが、昔は、正月2日の宵の頃になると、どこからともなく聴こえてくる、「お宝ぇ~、お宝。」の声。
実は、これを売って歩くことじたい縁起が良いと、その日のみのにわか「宝船売り」もずいぶんいたそうです。
いかにも江戸市中が似合いそうな光景と思っていたら、柳田國男さんの「初夢と昔話」(「定本 柳田國男集 第6巻」筑摩書房)によれば、なんと昭和12年にもそのようにして「宝船」は売られていたのだそうです。
その後、日本は戦争に突入、さらに続く戦後の混乱に、「宝船売り」のんきな声はかき消されてしまいます。
そして戦後の高度経済成長、バブルと、今度は、「お金とモノ」というお宝を追う忙しさにまぎれて、絵に描いた「宝」船のほうは、すっかり入手しがたいものになってしまいました。
が、最近。
神社以外でも、商店街のお正月の縁起物として配ったり、なんだか小さな復活を遂げているようですよ。
「長き夜の遠の眠りの皆めざめ船乗り舟の音のよきかな」
ってなに?
とりあえず、上から読んで、下からも読んで見てください。
どちらからも同じく読める回文です。
上野の杜のものには、書かれておりませんが、「宝船の絵」には、この一文が添えられるのが一般的。
寝る前に、必ず、この回文を3回唱え、「宝船の絵」を枕の下に敷いて寝る。
それが、良い夢見のルールだそうです。
どうぞよろしかったら、お試しあれ!
ちなみに、良夢は、一富士二鷹、三茄などといいますが、どうも私、そんな初夢はまだ一度も見たことがありません。
今年こそは、この「宝船の絵」のチカラを借りてみてみたい!
◆今日は、2015年1月2日/旧暦11月12日/霜月戊寅の日
◆日の出 6時51分 日の入16時39分/月の出14時26分 月の入 3時43分