重松清氏の新作『ファミレス』は、ちょっと今までと雰囲気が違う。
いや、もちろん、作風は変わらず、ひとことで言えば、この作家流の家族論…かな。
50歳前後の男性3人が主役で、彼らはそろいもそろって料理好き。
しかし、長く培ってきた彼らの「家族」にさまざまなほころびも見え始め、ファミリーレストランの略「ファミレス」=family lessかも?なんて解釈しちゃう。
そんな物語の本筋も、相変わらず面白くてどんどん読み進めちゃうんですが、そこに時々登場する「料理」が、はんぱなく魅力的なんです。
この作家って、こんなに食べ物にこだわりあったんだぁ…って驚きっていうか、新鮮ってゆうか。
気取ったオトコの料理もあれば、小手先の技、ナリワイとしての料理…etc。
なんか登場人物の数だけ、料理へのスタンスを並べて。
ああ、料理に対する考え方って、ここまでキャラクターを際立出せるんだぁと驚いてみたり。
で、そんな風に物語の中に引き込まれつつも、料理関連の記述には附箋!
これを抜き書きするのが、物語の中を回遊するのと同じぐらい楽しかったっ!
ノートに書いて書いて書き抜きしまくりましたって!
硬軟取り混ぜいろいろな料理(レシピ)が登場しましたが、私としては「白身ぷよぷよ、黄身とろとろのゆで卵かけごはん」がいちばん好き。
これは、主人公の男性教師が、教え子の中学生と作った料理。
さあ、そこから作ってみるぞっ!と、なぜか読後は料理欲に満たされまくっております。
…いや食欲か(笑)。
ということで、もうひとつ、違う視点でレビューしてしまいました。⇒物語を楽しみつつ、料理のコツも知ることができる一冊