「春の皿には苦味を盛れ」
という言葉があって、春には、積極的に苦味ある野菜を食せという意味です。
二十四節気の「啓蟄」に連なる七十二候は、初候「蟄虫啓戸」→次候「桃始笑」ときて、明日「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」に入れば最終コース。
花々も咲きはじめ、なあんか忘れてないかなぁ…私?
と、思い出すのが、この「春の皿には苦味を盛れ」という古人の教え。
春の清浄なる苦味は、冬の間にカラダに溜まった悪しきものを、体外に排出するチカラがあるからこそのこの言葉なのだそうです。
そしてセットで浮かぶのが「蕗の薹」の姿。
あの苦味が、もうもうもうもう好物なんだったよぉ~♡♡♡
という具合です。
が、しかし!
昨日こんな光景を見てしまいましたっ!
こんな都会の真ん中にも、よくよく探せば蕗の薹。
ちょっと嬉しい光景ですが、まてよ!
もう食べるのには育ちすぎっ!
すかさずスーパーマーケットの棚へGO!
ありましたっ!セーフ!!
っていうか、出始めの1月下旬ころには、3つで298円とか、蕗の薹なんてそこらへんの土手からとってくるのがあたりまえの田舎育ちにはあり得ない値段。
それが、この量で198円になっておりました。
ちょっと灰汁で黒ずんてるので、まあ投げ売りでしょうか。
まあいいんです。
半分に切ると、蕗の薹の中には春がたーんと詰まってるって感じ。
ここから半分の量をとり、さらに粗く刻んで、ごま油かオリーブオイルで炒めます。
あくぬきのため最初に「湯がく」とあるレシピもあるけれど、香りが飛んでしまいそうな気がして私は、即座に炒めてしまいます。
火がとおったら、砂糖とだし汁、みりんを入れて、さらに、炒める前の蕗の薹と同じぐらいの分量の味噌。
味噌を入れたら弱火でじっくり練って、練って。
「まず、ごはんにかけて、おにぎりの具にして」と、出来上がり後の食べ方を夢想しながら、練って練って。
「この時期に小料理屋さんに行ったら、蕗の薹の天ぷらが出てくるだろうか。きれいに開いた状態に上げるのは案外難しいのよねぇ」などと今度は希望含みの想像。
そろそろ頃合。
まずは、蕗味噌の出来上がり。
残りの蕗の薹。
四分の一に切って、鶏肉のささみと揚げ春巻きの具に。揚げたてに塩を振って食すと美味なのは、ずっと前に通った料理教室で教えてもらった春の定番メニュー。
これも毎春必ず食べずにはいられません。
そして、パスタの具とかにもけっこういけたりするのがすごい。
ああ、一パックでは到底足りません。
こうして一瞬にして、「蕗の薹」は、我が家の春の食卓の定番と成り上がります。
◆今日は、2014年3月15日/旧暦2月15日/如月乙酉の日