歌麿、写楽に北斎、山東京伝だって関わりあり、江戸の凄腕プロデューサーのお話です

昨年、宮藤官九郎作の朝ドラ「あまちゃん」が、世の中にブームをつくるほどの成功をおさめ。
とすれば、次は、大河もありか?

といったあたりから、個人的な妄想ワールドに突入。
私としては、これまでの大河ドラマのセオリーを破ってとにかく戦のない時代を描いてほしい。
→しかも、政治的な偉人はもう飽きたしね、そもそも黒田官兵衛あたり、あるいは、来年の吉田松陰の妹が主人公とか。
もうネタ切れではないの?
→庶民に近い目線の話が良いかもね。

っーことで、北斎を主人公に、江戸の浮世絵ワールド全開、もちクドカン作のNHK大河なんてどうかしら?

…すみません。
前置き長いでしょうか?

そもそも、私は、江戸文化がとても好き。
特に浮世絵や戯作など、そのものよりも、それが生み出された歴史、背景などに非常に興味が惹かれるという好み方でして…。
そんな意味では、そのあたりをテーマ物語を描いた、高橋克彦氏の「だましゑシリーズ」などは、何度も読んだ。

が、ココにきて、どうも、そういったモノを世に出した立役者。
江戸の辣腕プロデューサーにして版元でもあった蔦屋重三郎の話が目白押しな感じ。
それじゃあ、もちろん読まなきゃねぇ、と書店でめについ一冊をとりあえず。

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車浮代作、エンターテイメントビジネス時代小説、『蔦重の教え』( 飛鳥新社)である。

物語は、55歳で依願退職を迫られたがけっぷちの広告マンが、吉原あたりでやさぐれて飲んでいるうち、なぜか、江戸の時代にタイムワープ。
年も23歳と若返り、そこで出会った蔦屋重三郎に拾われて、彼から、ビジネスと、ヒトとしての生き方を学ぶという展開。

時代的には、まだ歌麿も、写楽も北斎も無名の新人。
そんな彼らと、主人公は、深く関わり…って、もうこの設定からして面白く。
当時の、出版事情やら、才覚を屈指して、蔦重が既成概念にいどんで成功した数々のコト(これは、史実にのっとっております)などなどは、もうもう、私好みのお話でした。

そして、がけっぷちから、自分らしい人生へと這い上がる経過も興味深い。
そもそも、ビジネス時代小説…って、ジャンルまでつくちゃっただけあって、そこらへんの自己啓発本より説得力もあり。

ああ、こんなアプローチもあるのねぇ。

で、冒頭の妄想的大河ドラマの話にもどるけど、大河ドラマって、歴史的な題材をとって、現代人の生き方に寄り添うみたいな要素もあるんじゃあないかなと。
そうなら、やっぱ、浮世絵や戯作など、江戸の文化を描きつつ、今の時代の在り方に寄り添うってのは可能。
…というか、無理やり解りやすい偉人をセレクトするより、その方が、新しい時代の考え方を提示できるとも思うよ。

っていっても、私としては、蔦重ではなくて、一番長生きをし、いろんな土地へゆき、けっこう波乱万丈だった北斎が主人公がいいんだけどね。