芭蕉が奥州に旅だった日が、旅の日となりました/旧4/18・丁亥

牧野庭園2

あらたふと青葉若葉の日の光

と、松尾芭蕉が詠んだのは、旅の最初の目的地、日光東照宮の地だそうです。

芭蕉が、奥州「奥の細道」を行くために江戸を旅たったのが、元禄2年3月27日とされ、その早朝、舟で隅田川を上り、千住から日光街道を徒歩で行きます。
それを、新暦に直すと、1689年5月16日で、今日はそれを記念して旅の日なんだそうです。

日光に着き、この句の光景である青葉若葉を眺めたのは、その4日後の5月20日あたり。
ちょうど400数年まえの今ごろの緑輝く様子は、どんなだったでしょうか?

連なる山々の木々には若葉が茂り、緑色の濃淡がその一帯に緑のグラデーションでも作ったものでしょうか?

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さらに、そこに日々強くなりゆく日差しがさして光り輝き、そして青空。

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青と緑のコントラストは、想像しただけでもなかなかに美しく、そして清々しい光景です。

いや、「あらたふと」は、「ああなんと尊いことだろう」ぐらいの意味ですから、カミサマとなった徳川家康の眠る地「日光」と緑輝く「日の光」をかけて、もっと強く、神々しい気持ちを表現したくなる光景だったのかもしれません。

5月下旬の今ごろともなれば、関東平野のこのあたりでも、木々は若葉を十分に茂らせる季節です。

たとえば、ご近所の上野公園も緑鮮やかな季節到来!

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強くなった日差しを除けようと木陰に入り、ふと見上げれば、若葉を通してきらきらと木漏れ日。

その光線の具合で、若葉の緑はさらに複雑な色合いとなって、一言で「緑色」といっても、そこには際限ない濃淡、明暗の差が生じていて面白い。
青葉若葉が光や背景となる空の青とともに演出する微妙なニュアンスが、一枚の細密画のようでもあって、もうそれは自然現象によるアート。

そして、もし、そこに心地よい風が吹けば「薫風」という言葉まで用意されていて、初夏の風は、若葉茂らす木々をとおり抜け、そこから芳しい香りまで運んできます。

静かに眺め、辺りの空気を深呼吸すれば、なにやら、ほっとリラックスまでさせられる不思議。

ああ、まったく自然の営みというのは、「あらたふと」なことだらけです。

◆今日は、2014年5月16日/旧暦4月18日/卯月丁亥の日