孟宗竹の旬すぎたころ、七十二候は「竹笋生」/旧4/17・丙戌

七十二候は、5月15日より「竹笋生」の季節にはいっております。

「笋」は「筍(タケノコ)」のことで、「たけのこしょうず」と読んで、「タケノコが竹林に顔を出す頃」ぐらいの意味です。

しかし、東京地方でタケノコが売り出されるのは、4月上旬ぐらいから。
実際、しっかり、初物もいただきました。

Exif_JPEG_PICTURE

もう5月も中旬を過ぎましたから、関東のタケノコはもうとっくに立派な竹になりつつある頃です。

実は、タケノコの生育にはもうひとつ便利な目安があって、「桜が散ったら、そろそろタケノコ」
東北の農村地帯に程近い街で育ち、このことは、ずいぶん幼い頃から教えられていたように思います。

桜が散っても、今度はタケノコ採りという楽しみと、筍尽くしのご馳走。
思えば、あの頃は、自然からいただく楽しみで、1年中忙しかった。

散り桜を目安にすれば、東京地方のタケノコの旬が4月上旬というのも矛盾がなくて、そして、東北の街は、つい最近散り桜を楽しんだばかり。
つまり「竹笋生」という言葉は、北の町のためにあるのかな?

実際、故郷では、そろそろタケノコの季節、しかし、竹林はは孟宗竹ではなく「真竹」によるものです。
…とココで、真竹の旬を調べてみれば…。

おっと、真竹の旬こそ今ごろの5月~6月。
しかも、孟宗竹は、17~18世紀に日本に入ってきた外来種で、それ以前はの日本の竹といえば真竹のことだったとか。
ふふーん、「竹笋生」は、もしかして真竹のタケノコのコトをいっているのかもしれませんね。

さて、その真竹のタケノコは、こんな風にはえて来て…。

真竹タケノコ20090523

ひとたび地面に顔を出せば、見る見るうちに大きくなって、さあこうなったら気を抜けません。
ちょうど雨の季節と重なれば、「雨後の筍」の例えを実体験する成長速度なんですよねぇ。
あっという間にこんな感じ。

真竹タケノコ20090523_2

このあたりで、収穫しないと、空き地は竹林の道へまっしぐらです。
とにかくせっせと収穫作業。
「少し食べるの手伝ってぇ!」と、竹林所有者の母は、近所へタケノコ配りに忙しい時期です。
私も時々収穫に帰省したり、送られてきたりで楽しい季節到来。

真竹のタケノコじたいは、こんな風で、孟宗竹よりやや小ぶり。

真竹タケノコ20090523_3

扱いが楽なのも好きなところです。
そういえば、孟宗竹の筍は「掘る」のですが、故郷の真竹は、地面に出てきたところを「採る」。
収穫の仕方も少し楽です。

収穫したら、どこかで米ぬかを調達して待機、採ったタケノコは、間髪いれず大なべであく抜き大会。

野趣溢れる筍の香りが記憶にのぼってくるとともに、「桜が散ったら筍」のほかにも「竹の花器も抹茶をすくう茶杓も、あんたらの好きな竹とんぼも、日本の竹細工の材料は、ぜーんぶ真竹だからね」という講釈が浮かびました。

自慢げに語ってくれたあの大人は誰だったでしょうか。

◆今日は、2014年5月15日/旧暦4月17日/卯月丙戌の日/満月