空豆ごはんの季節です/旧4/24・癸巳

ええと、ちょっと先走りすぎました。

空豆の季節です。

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流通の発達やらハウス栽培の進化やらの「便利」の代償として、なんとなく「旬」の楽しみがなくなっている街暮らしですが、この空豆ったら偉いことに、この現代でも旬を守り、普通のスーパー&八百屋さんには、ほぼ今しかありません。

空豆の旬は、桜の開花のふた月後ぐらい。

今年2014年に、東京地方でソメイヨシノの開花宣言が出されたのは、3月25日
たしかに、空豆は、先週ぐらいから野菜売り場の目立つところに並びはじめ、今週あたりから安くなったような気がします。

つまり、地方によって、旬の時期が微妙に違う?
って、ホントは当たり前なんですが、面白さを感じてしまいます。

桜前線を追いかけるようにして、空豆の盛りの時期を日本列島を西から東…というのも理論的には可能かもしれません。

ありすぎて面白い、「そら豆」異称のバリエーション

そのせいなのかどうなのか、空豆は、作られる地方によって呼び名が様々。
異称を探すと出るは出るは…。

資料によっては、呼び名が使われる場所も微妙に変わるのですが、共通項の多い主だったところをいかに並べてみましょうか。

・九州の「唐豆」

空豆はそもそも、遠く地中海、西南アジア辺りが原産のもので、それが中国に渡り、やがて奈良時代あたりに日本に渡来したとされます。
日本に入るにあたっては、九州を入口としたんでしょうか。
中国=唐から渡ってきた豆となってそのまま呼び名が残ったと推定してもたぶん大きく外れていないような気がします。

・四国へ行けば「四月豆」

これは、明らかに収穫の時期をその名にあてたんでしょう。
・静岡の駿河から伊豆あたりの「五月豆」もたぶん同じ意味かと。

収穫時期由来というなら…。
・山陰・四国・九州地方には、「夏豆」という呼び名もあるらしい。

ちなみに、関東以北、特に東北あたりで「夏豆」といったら、早生りの大豆、つまり枝豆のことですが、そうなんですか。
もし、引越しでもしたら、混乱してしまうかもしれませんね。

一方、種まき時期を由来にした地方もあります。

・神奈川県の相模のあたりでは、「冬豆」
・千葉の房総あたりは「雪割豆」

空豆は、高温多湿に弱いので収穫が真夏にならないように、秋から冬に種をまいて初夏に収穫するのが一般的。
どちらも、冬場に植えるからこの名前なんでしょうね。

・奈良県あたりでは、その一大生産地が大和(奈良県)だったことから「大和豆」とか。

その他、地方は特定できなかったのですが、こんなのもあります。

・「蚕豆」→養蚕の時季に豆が熟し、そういえば、鞘も蚕の形に似ているから。
・「南豆」→花が南向きに咲くから。

そうそう、そもそも、現代の一般的な呼び名である「空豆」は、鞘が空に向かって育つからという説もありました。
唐豆→カラ豆→空豆の説もあり、でも空に向かうから…のほうが個人的には好きです。そして、空を天に向かってと言い換えて、「天豆」という字を当てるケースもありました。

空豆に呼び名がつけられた、たぶんその頃は、農作物は当たり前ながらほぼ地産地消。

だから、作物の名前を地域限定で勝手につけても混乱はなく、ついでに、現代のように無駄に早く多くの情報を伝える伝達手段もない。
だからこその、この名前のバリエーションの面白さです。

仮に今ごろ、日本国内を旅してみれば、もしや、初夏の八百屋さんの店頭とか、もしかすると料理屋さんの空豆のメニューにも、いろんな名前が添えられるのかもしれません。

…空豆呼称目当てに、全国行脚してみたくなりますねぇ。

さて、さっそくに空豆ご飯。

名前の数ほどではありませんが、やはり微妙な作りかたの違いが複数あります。

私の場合は、空豆だけを単体で茹で、茹で上がったら薄皮を(食べながら)むいて、軽く塩を振る。
そして、炊き上がったご飯に空豆をつぶしながら混ぜて、炒りゴマをかけるというのが気に入り。

200905空豆ごはん

写真にすると、やや見かけが悪いのですが、このほうが空豆がほくほく旨く、初夏のおひさまの味がするような気がします。

ご馳走様です。
ありがとう。

◆今日は、2014年5月22日/旧暦4月24日/卯月癸巳の日