各季節の立つ日から花の見ごろを数えてきたのは江戸人たち
「立春」から数える桜の見ごろ
「立夏」から数える藤の見ごろ
「立秋」から数える萩の見ごろ
それでは「立冬」から数えてその見ごろを楽しみにしていたのは何でしょう?
ヒント、花にあらず。
まあ、簡単ですね。
それは、楓(かえで)の色づきだったのでした。
楓(かえで)の色づきは、「立冬」から約8日、遅くとも15~6日
いつものように、江戸・東京の年中行事の参考書『東都歳時記 3 』(東洋文庫 221齋藤月岑)を、紐解いてみましょう。
「紅楓(もみじ)」という項があって、
その記述によれば、早いところで立冬から数えて7~8日目頃より、遅くとも15~6日頃が見ごろだとか。
なかでも、上野から根津、谷中のあたりの名所は、7~8日目と早いエリアに数えられていたようです。
ちなみに、今年の立冬は、11月7日。
計算上は、+7日か8日=11月14日か15日に、楓は色づいていたはずです。
が、少なくとも谷中界隈はそんな気配はまったくなかった。
ちなみに、たまたま出かけた世田谷の豪徳寺境内の楓のほうは、こんな具合。
まだらな紅葉ぶりで、まだ見ごろというにはちょっとなぁ…と言う感じですが、とりあえず、これは江戸のカウントどおり。
ですが、『東都歳時記 3 』のほうに豪徳寺の記載はなく、比較ができず残念です。
しかし、このまだらな紅葉具合が面白いですが、そうゆう品種なんですかね?
そして、谷中の楓が色づいたのは、やっと数日前あたり。
江戸のころよりやや遅いながらも、立冬11月7日+15か16=11月22日か23日にはうまい具合におさまったみたいです。
広葉樹の葉っぱ、色づきの条件は?
・日中の陽射しの量が少なくなる。
・朝晩の気温が少なくとも10度を下る。
以上の条件が満たされないと、基本、葉っぱは色づかないらしい。
一方、東京は寒くなったといっても、最低気温が10度を切ったのは、やっと11月14日の8.8度が最初。
以降15日8.4度、16日9.8度、17日9.2度…といった感じ。
ここで、やっと植物たちも、それではそろそろ色づくかね。
…となったわけでしょうか?
そして、おそらく、江戸のころより今の方がやはり暖かいのでしょうね。
楓(かえで)と紅葉(もみじ)
とろで、楓と紅葉のちがいって知ってました?
この葉っぱに切れ目をつけてパッと開いた手のひらのような植物を、普段、楓(かえで)やら紅葉(もみじ)やらと、区別あいまいに呼んいますが、園芸界では、違いがあるんだそうですよ。
・楓(かえで)⇒蛙の手のようにあまり切れ込みが深くなく、ぼてりと開いた手のひらのような葉。
・紅葉(もみじ)⇒葉の切れ込みがぐんと深いもの。
つまり、こんな感じでしょうか。
左は楓、右は紅葉。
楓は、切れ込みのある葉っぱのカタチ=蛙の手に似ている。
ということから、「蛙手(かえるで)」と呼ばれた時代があって、そのご、徐々に「かえで」と呼ばれるようになったんだそう。
このエピソードを覚えておけば、ぼってり型=蛙手=かえでと覚えられるかと。
…まあ、葉っぱの色づきを楽しむ際の、豆知識程度のお話ですが、知っていると、落ち葉探しがちょっと楽しい。
よろしかったらお試しください。
さあて、楓に紅葉が色づいたなら、銀杏もすぐに追いかけるでしょう。
紅葉(こうよう)先発部隊の、桜と欅は、もうそろそろ散り終わり地面を明るく染めております。
といった感じで、東京の街中の木々は、ここ数年、一斉に色づくのはあきらめているかのようなのが、ちょっと残念なんですよねぇ。
◆今日は、2014年11月26日/旧暦10月5日/神無月辛丑の日
◆日の出 6時27分 日の入16時29分/月の出 9時33分 月の入20時15分