師走の28日といえば、注連飾りを飾る最終チャンスです。
もちろん、松飾も門松も同様。
・「九」が「苦」に通じる29日は絶対にNG。
・30日はぎりぎり過ぎる。
・31日になってしまうと「一夜飾り」なんでやっぱり避けたい。
正月、玄関に麗々しく飾る注連飾りは、門松&松飾とともに、歳神サマの依代という意味を持つ。
同時に、ヒトに災いをもたらす禍神(まがかみ)の家への侵入を防ぐもの。
最後に、飾る作法を間違うならば、飾らない方がまだしも…と思う。
これが、年越しの準備の最終コースですから、作法をきっちり守って、来年は良い年になりますように…。
…ってコトです。
で、私の今年のしめ飾りはこちら。
島根県出雲地方のお正月飾りで、「亀飾り」というそうです。
東北出身の私が、なぜ出雲のお正月飾り?
それは、忘れもしない2011年の暮れのコト…。
「東京の注連飾りは豪華だけど、プラスチックだらけだねぇ」
ある年、西のほうで生まれ育った友人が言う。
東京どころか、米農家が多く素材の藁が豊富な東北だって、注連縄は、中央を飾る橙ぐらいが本物で海老も鯛もプラスチックでちゃらちゃらキラキラ…人工的で派手。
エコの点から燃やすにちょっと気を使いそうなのが注連飾りが主流。
しかし、その友人の言葉を聞いて、遅まきながら
「注連飾りっていろいろあるの?」
…などと興味を沸かした次第です。
それから、インターネットで検索したり、図書館で関連書を調べたり…。
確かに、件の友人の故郷、大阪の注連飾りってずっとシックで私好みなことを発見もします。
他は全部派手なんだけどねぇ…。(私見です)
「民芸品店辺りに行ってみればいろいろあるかも」
と出向いた青山・べにや民芸店。
店内に足を踏み入れた途端。
どどーっ!
しめ飾りの洪水ですよ。
ほぼ、藁だけで編まれ、そこに木札や和紙でアクセントを施した美しい意匠の数々。
コメの国ニッポンの面目躍如といった感じの注連飾りが一同に会し、まずはただただ驚くばかりでありました。
それを、唖然と眺めてているうちに、ふと涙が出てきてしまったのは、それらが放つ存在感のせいでしょうか。
そのうち、ふつふつと沸いてきたのは
「やっぱりニッポンってすごくないかい?」
という言葉。
年末ぎりぎりになって、なんだかココロが嬉し忙しな気分になったものです。
笑門と木札が下がっているのが、三重・伊勢地方のもの。
これは1年中飾るものだと教えられ、そんな飾り方もあるんですね。
いつもカミサマがいらっしゃる土地柄だからでしょうか?
あとは…。
カミサマの国、宮崎県高千穂や島根県出雲のものをはじめとして、西から佐賀、広島、香川、徳島、京都。
岐阜県飛騨高山を経由して、新潟、秋田、山形あたり、宮城県気仙沼のものまで。
…あるらしいのですが、実は、どれがどこのモノかすごすぎて忘れました(笑)。
こんなにあっても、まだまだ集めきれないものもあるらしく、全国津々浦々を注連飾りを求めて巡って歩けばどれほどだろうと妄想しきり…。
いや、実際に、全国の注連飾りを探し、掘り起こし研究している方もいらっしゃるんだそうです。
この「亀飾り」には、
翌年の「亀飾り」と交代するまでいていただきます(笑)。
お正月の飾りですので、松の内が過ぎれば、どんと焼きなどでお焚き上げが正しい作法。
…なんですがこんな美しいものをそう簡単には燃やせやしません。
「玄関からははずして、家の中にならいいんじゃないですか」
というお店の方の話を錦の御旗に、けっきょく、1年。
なので、年末から翌年のどんと祭前日まで我が家に滞在いただき、新しい飾りを求めて、やっと、お炊き上げという変則的な塩梅になる(笑)。
毎年違うものを飾らせていただこうと思ったものの、今年も同じ「亀飾り」。
なんか、この造形が好きなんですよねぇ。
あっ!
部屋の中に、藁の香りが立ち込めてきました。
これは、太陽のヒカリで藁が乾燥してゆく香り、なんだか、ありがたみがさらに増す感じがいたします。
◆今日は、2014年12月28日/旧暦11月7日/霜月癸酉の日
◆日の出 6時49分 日の入16時35分/月の出11時04分 月の入23時35分