今日は「小正月」。この行事が残る地域では、その前日を「十四日年越し」と呼んで、もうひとつの大晦日を過ごしました。1/15=旧11/25・辛卯

今日は小正月。そして昨日は十四日年越しでした。

といっても実際には旧暦1月14日・15日のことですので、本来はまだまだ先です。
特に、2014年は、閏9月があったので、しばらくグレゴリオ暦とのずれ方が大きく、なんと今年は、3月4・5日!

今日もまだ旧暦11月24日だもんねぇ。

それでも、下町方面にある我がご近所の商店街は、「小正月」の飾りつけ。

町の小正月

ランチに入ったレストランでは、「餅花」が飾られていて、あららっ!

ならばと、我が家も飾ろうっ!

餅花

というのも、この「餅花」は、年末のお正月飾りと一緒に飛騨地方のものを早々に求め、この日を待っていたもの。
ホンキの小正月までしまっておかなくちゃならないかなぁなんて思っていたからなんですけどね。

しかし、ホンキでちょっぴりだわぁ(笑)。

私の求めたものは、枝に餅をつけただけのものですが、本来、飛騨の「餅花」は、山から木の切り株に自然に枝がついたものを取ってきて、その枝に紅白餅をつけ、床の間などに飾るというスタイルらしい。
ふーむ、となればかなり華やかなことでしょうね。

「小正月」の飾りは、いずれの地域もこの「餅花」

お正月の飾りが松飾りや門松など、松や藁を素材に、スキっと粋なものであるのに対し、「小正月」の飾りは、華やかでカワイイ。
松飾や門松が歳神さまの依代であるのに対し、「餅花」は、「今年は豊作だ!」と豊作を予想して前祝いする「予祝」の意味あいを持つからなのかな?

まずは、その対比が興味深い。

そして、「小正月」が残る地域では、その前日「十四日年越し」にこの飾りを作るんだそうで、
その作法もいろいろで面白いのです。

たとえば…。

●新たに餅をついて熨し
細く切って
枝付切り株の枝に飾る。

…が、飛騨のスタイル

●正月の鏡餅を細かく砕き
枝に飾る。
そして、「小正月」に行われる「左義長(どんと焼き)」の炎で焼いて食べる。

…という地方もあるらしい。

●私の故郷・東北の「小正月」の飾りは「繭玉」と呼ぶ。
米の粉を丸めて枝にさす。
お蚕さまの繭の見立てて作るから「繭玉」。
「小正月」を終えたら枝から外して焼いて食す。

構造的には、これも「餅花」ですね。

そして、東京以外の地域ではこの時期が「どんと焼き」や「左義長」の時期。
「小正月」って、元旦&三が日とはまた違った華やかさや賑やかしさがあって、たった半月の差なのに、こちらのほうがリアルな春を迎える行事に思えてきますね。

「小正月」の祝い食は、「小豆粥」

さて、元旦を含むお正月の主食が「お餅」ならば、小正月にも口にすべき食べ物があって、それが「小豆」

小豆

これをお粥の具にして、食すのが「小正月」。

小正月=1月15日=望月の日=満月の日の粥。
ということで、それを「望粥(もちがゆ)」と呼ぶらしい。

もちろん、「望」になぞらえ、実際に餅を入れる地方もあるようです。

「小正月」に粥を食べる=唐代以降盛んに行われていた中国の行事。

中国では、1月15日は「上元の日」。
…とも呼ばれる重要な日。

新しい春を迎えるお祭りとして盛大に祝い、また、門戸に柳の枝を飾ったり粥を食べたりして邪気を祓ったそうです。
それが、まず平安時代前期に宮中の年中行事として伝わり、その後民衆へ地方へと広がるうちに、それぞれ、その土地に適した変化をとげたみたいですね。

ふーむ。

ちなみに、「小豆」は、漢方の薬としても昔から利用されてきたもので、煎じ汁や小豆粥は解毒やむくみに効果あり。
お正月のご馳走は、保存を考えて味が濃くむくみにつながり、さらに悪いことに身体を動かさずに食べ過ぎる。

正月太りの原因はほぼこのふたつだけれど、とすれば、この時期に「小豆粥」というのは、非常に理にかなった祝い食かも。

昔のひとはなぜそんなことまで知りえたでしょうね?

東京は、すっかり正月気分もぬけて、バーゲンシーズンなど俗っぽい日常がくりひろがっちゃうこの頃。

だけど、全国に視野を広げれば、まだまだ小正月を祝う場所が多いみたい。
となれば、その気分を少しでも味わいたいもので、今日は(ちょぴっとの)「餅花」を眺めつつ、「小豆粥」でもいただこうかな。

◆今日は、2015年1月15日/旧暦11月25日/霜月辛卯の日
◆日の出 6時50分 日の入16時50分/月の出 1時11分 月の入12時13分