正月18日「初観音」の浅草寺には、日がとっぷりと暮れた後、松明もった鬼が出ますっ!/11/18=旧11/28・甲午

浅草寺の「初観音」は、ことさらに特別です。

毎月18日は、観音さまのご縁日。
そして、その最初が「初観音」。

江戸東京の観音さまである浅草寺では、この日をめざして特別な法要が行われております。

雷門

その名も「温座秘法陀羅尼会(おんざひほうだらにえ)」

浅草寺のパンフレットによれば…。
・1月12日午前6時から18日の午後6時まで、延々7日間、昼夜不断に経を読み修法に励む密教の大法要
・秘法のために本堂の一画に幔幕を張り結界を作った中で行われる。
・僧の一座の修法が終われば、すぐ次の僧が交替に登壇。
・そのスタイルで修法が168座も続く

…のだそうです。

ひょーっ!お坊様って大変ですねぇ。

よって、寒い本堂でも台座が冷えるひまが無いので「温座…」と称する。
…って、いやいやいやいや。
ご冗談をっ!

季節は、まだ寒の内です。

暖房も無い本堂ですから、台座が人肌で暖まるにはちょっと寒むすぎ。
なのに、法要の正式名称に、大真面目で「温座」なんてつけてしまうセンス。

やせ我慢にも思えて、なんだかとってもほほえましく面白い。
…なんていったら怒られますかねぇ?

18日の夕刻は、長い法要も大団円!
いよいよ、クライマックスの「亡者送り」です。

ということで「温座秘法陀羅尼会」は、秘法ゆえにもちろん見学不可。
参拝者は、読経を耳にするのみです。

がっ、この大団円たる行事「亡者送り」は、見学可能
…っていうか、一生に一度は必見と思うほどに見逃せない行事だと思う。

ということで、以降は実況風に。

浅草寺にも夕日は落ちてとっぷりと暗く、聞こえてくるのは僧侶たちの読経の声のみ。

日没後の浅草寺

いつもは、参拝を終えて帰路につく人々も、今日は、本堂のあたりに佇み、静かにその時を待ちます。

と、読経やむ!

灯りが突然すべて落とされて暗闇になる。
参詣者たちは息を潜めてじっと待つものはです。

鬼が2人、観音堂内から、松明を持って登場。

鬼が登場

そのまま本堂の大階段を下り

大香炉を周り
宝蔵門を周り
鬼が疾風のように

…そして、また疾風のように境内を走りぬける。

カメラを持った参詣者は、鬼を追うパパラッチさながら

ってとこが、いきなり現実に引き戻されちゃうとこなんですが、もちろん、私もカメラをもって鬼をおいますっ(笑)。

鬼拡大

(一応、撮れたっ!てのが、これと上の似たような写真が2枚きり。
暗いし、鬼は速いし、難しすぎです…が雰囲気をどうぞってことで。)

ちなみに、松明の燃えがらが、火除け、厄除けのお守りになるとの言い伝えあり。
で、それを追う人々はも、割りばしもって(これで燃え殻をひろう)、スターの追っかけさながらです。
こっちは、この行事発祥の江戸時代からそうみたい。

鬼とともに、群集の塊が、境内をざざっざざっと大移動。
鬼追いパパラッチはさておいて、そのパワーにいつしか不思議な昂揚感を感じてしまう。

珍しいぐらいに動的な行事でもありますね。

鬼たちの行く先は、銭塚地蔵堂脇にほった穴。

そこに、魑魅魍魎や餓鬼に対する「供物」が投入され。
最後に、松明も投げ入れ行事終了。

一年間の「天下泰平、五穀豊穣、玉体安穏、万民豊楽」を祈願する長ーい法要がここに無事完結します。

これは、施餓鬼作法にのっとった亡者送りで悪霊を鎮める行事でもあって。
節分の行事に先駆け、18世紀初頭からずっと絶えず続いた、浅草寺で春を迎える追儺の儀式でもあるそうです。

ふーっ。

…しかし、我が腕まえでは、鬼をまったくパパラッチできてませんねぇ。
びがびが、ゆれゆれの写真で恐縮です(笑)

ということで、勇壮な鬼たちの様子は、どうぞこちらでご覧ください。⇒浅草寺公式サイト「温座秘法陀羅尼会」のページ

本日、夕刻、東・東京にいるなら、浅草初観音&亡者送りは必須かと!
(午後5時すぎぐらいから)

◆今日は、2015年1月18日/旧暦11月28日/霜月甲午の日
◆日の出 6時49分 日の入16時53分/月の出 4時09分 月の入14時38分