季節の暦、七十二候は「雉始鳴(きじはじめてなく)」の季節に入っております。(1月15日~1月19日)
雄の雉が雌を呼んで啼く季節…つまり、雉の恋の季節なんでしょうね。
しかし、雉って…こんな寒いときに???
寒の内だよ?
場所によっては超雪深いけど、恋の季節どころじゃなくて、まだ冬眠してるんじゃないの?
…とつっこみいれつつ、そもそも、雉ってどんな声で啼くんだろう?
つまり、雉のコトなどまーったくわからずじまいのため、またも七十二候の暦の最終日になってしまう。
雉って日本の国鳥なんだけどねぇ…。
うーん。
やっぱ、これだなっ!
勝手七十二候は「冬桜栄」
「冬桜」とは、この花。
11月頃、辺りの木々が色づく頃にポツリポツリと咲き始めるもんだから、一瞬「桜の狂い咲き?」と思うのですが、「冬桜」という立派な品種。
椿や山茶花などと並んで、寒の内の木々を彩ってくれる貴重な花でもあります。
もちろん桜の仲間ですが、その咲き方からしてちょっと異質。
●咲はじめ
⇒11月下旬ごろ。薄桃色の一重咲きの小さな花が、下の枝から咲き始める。
だから、こんな風に紅葉を背景に桜咲くという光景も楽しめたり…。
ちなみに、この写真は、根津神社の境内にひっそりと咲いていた、在りし日の冬桜。
境内を抜けて先を急ぐ人々が、ふと足を止めて静かに仰ぎ見るシーンというのにずいぶんたくさん出くわしました。
紅葉・黄葉vs冬桜の桃色を楽しむには絶好のシチュエーションだったんですが、ある年の台風で、一挙になぎ倒されてしまい、いまは、思い出の中に冬サクラサク。
(ということで、その思い出とともに、ココに写真を載せときたくなった次第)
●花の時期が異様に長い
⇒染井吉野が、バーッといっせいに咲いて、1週間ぐらいで花吹雪になってゆくのとは、対照的に、その後も、一輪一輪ゆっくり咲いて、ゆっくり散る。
華やかさはちょっと足りない気もしますが、代わりに花の時期をかなり長く楽しめます。
東京の冬特有の澄んだ青空を背景にして、薄いピンクの花が凛と美しく生えます。
●終わり方もカワイイ
⇒寒の内の寒さを元気に乗り切った冬桜も、例年さらに寒さを増す2月にもなると、花は散らずに木に張り付くようにしぼんでいきます。
が、その様子も実はなんとなく愛らしい。
ああ、この花も、江戸の植木職人の仕業ですか。
その愛らしさと、不思議な咲き様に惹かれて、図鑑などを紐解けば…。
おっと、「冬桜」も、江戸の植木職人によって生み出された改良品種!!
「大島桜」と高山に自生する「豆桜」を掛け合わせて作られた花らしく、
江戸時代の後期ごろから栽培されていたようです。
ふーん、そうなんだ。
実は、このひっそりささやかに咲く感じから、てっきり桜の原種のひとつかとばかり思ってました。
江戸時代の植木職人の技といえば、「染井吉野」の功績が文句なしに筆頭。
ですが、わざわざ、こんな小さく愛らしいものを作る感性も何か非常に日本人的で好感度大ですね。
満開の「染井吉野」=人間とは距離のある”幽玄”なイメージ
…とすれば、「冬桜」が持つのは、”慕わしさ”のようなもの。
何か身近にいてほっと和める種類の桜でもあります。
冬桜は、実は、春にもう一度咲く…らしい。
ところで、その図鑑によると、冬桜は、晩秋から初冬に1回開花して、さらに4月ごろにももう一度花開かせるとのこと。
さて、どうだったかしら?
実は、染井吉野に始まり、八重桜に山桜と追ってゆくうち、春はついつい「冬桜」のことを忘れてがちでした。
そうそう、「冬桜」の頃がいったん終わると、近くの上野公園では、「寒桜」、「緋寒桜」と咲き始め、そういえば、天神様の「梅」も咲く。
寒いといっても、花を追うのに忙しい季節がもうすぐそこまできています。
今年は、その後にやってくる、4月の冬桜AGAINの時期にも忘れずにお会いしましょう。
◆今日は、2015年1月19日/旧暦11月29日/霜月乙未の日
◆日の出 6時49分 日の入16時54分/月の出 5時07分 月の入15時39分