冬って、季節限定の和菓子三昧。もう、全部食べたかな…あっ!椿餅のコトを忘れてたっ!!/2/16=旧12/28・癸亥

2月って、どうも季節の和菓子が多すぎかも?

節分まじかに「節分和菓子」を嬉々としていただき。
その味がまだ記憶に残っているというのに、今度は、七十二候「黄鴬見睨」にひっかけて、「うぐいす餅」

寒くないと美味くないので、「酒まんじゅう」までいただいて、もう今月はおなかいっぱい。

バレンタインデーなんて行事もありますが、チョコレートを食べる余裕などありません(←なんかバレンタインデーの意味を間違えてる?)

なのに、もうひとつ、思い出してしまいましたっ!

椿餅です。

ずいぶん前のことになりますが、2月に京都を訪ねる機会があって、和菓子屋のショウウインドウを眺め、とても気になったのがこの「椿餅」。

餅菓子の上下に椿の葉っぱをあしらってなんだか不思議な佇まい。

つばき餅

はじめて見るお菓子だったので、これは京都土産にGet!
…と思ったんですが、賞味期限がその日中で、購入断念。

その後、やっぱり気になり東京で探すも「すみません。当店では扱いがありません」といわれ続ける。
数件目で「あれは京都のお菓子ですね。とらやさんならあるいは」と教えられたのでした。

…っーことで、この椿餅もとらやのモノ。

包みを開けると、まず、ニッキがほんのりと香ります。
椿の葉っぱにサンドされているのは、俵型の道明寺です。

椿餅拡大

ひとくち…。
むっちりした食感が不思議な快感です。

とらやの椿餅は、2月1日から24日までの期間限定
間に合ってややホッとしております。

っていうか、いまだ東京の他の和菓子屋さんで売ってるのを見たことがないんですよねぇ~。

「椿餅」にこだわるのは、『源氏物語』に登場するお菓子
…と知ってからかな?

とらやのホームページには、「虎屋文庫」という非常に興味深いコーナーがあって、これは超おススメ。

とらやで和菓子を買うたび、かならずここにその由来などないかなぁ。
…と調べてみるのですが、「椿餅」にも「歴史上の人物と和菓子/紫式部と椿餅」というページがちゃんとある。

それによれば、「椿餅」は、古典文学の傑作『源氏物語』に登場する数少ないお菓子のひとつ。

そーんなに古い時代からあるお菓子ならば、やはり食べてみたいし、食べつなぎましょう私がっ!
ってコトでしょうかね(笑)。

…って、「煎った道明寺粉と肉桂を混ぜて蒸した生地で御膳餡を包み、椿の葉ではさんだ」そのお菓子が、単に美味しいからって事情も大きいんですが(笑)。
特に、ほのかな肉桂=シナモンの風味が、もうもうもうもう…たまんないのです。

『源氏物語』にも、もちろんあたってみました。

とらやのHPには、<「若菜上」の帖に、「若い人々が蹴鞠のあと、梨・柑橘類や椿餅などを食べる場面があります」>とあったので、実際にその記述を探してみました。

たしかに、「若菜上」の最後の最後、十四章の第一段にありましたっ!

「次々の殿上人は、簀子に円座召して、わざとなく、 椿餅、梨、柑子やうのものども、さまざまに箱の蓋どもにとり混ぜつつあるを、若き人びとそぼれ取り食ふ。」
一応、現代語訳は、
「(蹴鞠を楽しんだあと)殿上役人達は、板の間にすわって、椿餠、梨、蜜柑などが、箱の蓋に載せて出されたのを、はしゃぎながら食べていた」
…ですかね(かなり超訳。)

こんな風に書かれているってことは、「椿餅」は、貴族の館で蹴鞠の会などのとき、参加者に配られるアイテムのひとつだったのかな?

実は、腹持ちいいお菓子なんで、スポーツ(蹴鞠)をして、おなかが空いたヒトのにはいいかもしれない。
(源氏物語が書かれたのは、平安中期ですので、材料はずいぶん違っているかもしれませんけど。)

何を隠そう、私はいい年をして『源氏物語』を通読してない。

…って、そうゆうヒトの方が、案外、多いかとは思うのですが、こうして、拾い読みだけでもけっこう面白いと感じたのも、実は、「椿餅」⇒「若菜上」の帖を読むというのがきっかけ。

『源氏物語』は、平安時代の宮廷を舞台にした愛の物語と評されるのが一般的。

まあ、それはそうなのですが、私にとっては、今につながる、和菓子や縁起物、日本の自生植物あたりの宝庫って知ってのち、『源氏物語』がずっと身近な物語になったような気がします。

なんか、今度こそ、全部読めそうな気がします。

ありがとう「椿餅」と「虎屋文庫」…なんちって(笑)。

◆今日は、2015年2月16日/旧暦12月28日/師走癸亥の日
◆日の出 6時28分 日の入17時23分/月の出 3時45分 月の入14時21分