七十二候は「寒蝉鳴」。人々が首を垂れて、ラジオの玉音放送に耳を傾けた70年前の今日も、晴れて蝉時雨が降る日だったんでしようか。/8/15=旧7/2・癸亥

季節の暦七十二候は「寒蝉鳴」に入っております(8月13日~17日)。

「ひぐらしなく」と読んで、意味は蜩(ひぐらし)が鳴くころと、そのまま…かなぁと思ったら、ここはちょっと複雑。

「寒蝉」=秋を告げる蝉の意味があるけど、ひぐらしってホントに「秋告げ蝉」なのか?
…となるとちょっと微妙。

図鑑によれば…。

◆「ひぐらし」⇒<6月末頃現れ、8月末まで、その鳴き声を聞くことができる>なんだとか。

うーん、つまり、初夏から鳴いているってわけね。
「カナカナカナ」と、思いっきり寂しげな印象なんで、晩夏の蝉と思いこみ、あっさりスルーするところでした。

となれば、「寒蝉」とは?

◆つくつく法師⇒<出現は8月始め頃とやや遅め。ピークは8月末から9月初旬>
とあるので、こっちでしょうね。

念のため、「広辞苑」で、「寒蝉」を引いてみたら⇒<秋の末に鳴く蝉。ツクツクボウシまたはヒグラシの古称か。かんせん。>

ああ、それで読みが「ひぐらしなく」になったのか!
と、ちょっとすっきりした次第です。

現代では、いまごろは、ちょうど蝉時雨の時期ですね

強い日差しを避けて、木陰を抜ければ、もういきなり蝉の鳴き声が降ってくる。
まさに、蝉の時雨です。

こうなると、蝉をみつけるのは案外簡単。

鳴き声が強く聞こえる樹木の幹に狙いをつけてじーっと目を凝らせば…。

ほらっ!いましたっ!

蝉

おっ!こっちにも!

蝉

この時、足元のくさむらあたりの葉っぱをひょいとめくると…。

あったあった!

蝉の抜け殻2

低木の葉陰などに大量の抜け殻が、まるで実っているかのように張り付いています。
旧暦盆の入りから明けに重なる「寒蝉鳴」は、そのとおり蝉の季節なんですねぇ。

終戦の日は蝉の鳴き声と紐づいている

今日8月15日は、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」
…終戦の日です。

ドラマで玉音放送を聞くシーンの前後には、カラッと晴れた空をバックに蝉の鳴き声…みたいな場面がお約束。
だから、そのまま、私のイメージもそんな風。

実際、戦争経験のある方の話を伺う機会があると、「その日はよーく晴れた日だった」と。

となれば、焦土と化した場所からも、のんびり登場して羽化した蝉…が、鳴く。

あながちテレビの演出は外れていないように思います。

爆弾も爆音もなくなったその日。

ノイズと難しいコトバのために、よく聞き取れなかった玉音放送。

あとで聞いて、負けた戦争のことを知ったとしても、とりあえず戦争は終わった。

青空と蝉のイメージは、負けた戦争に泣き崩れるヒトよりも、厳しい日々の終わりにホッとするヒトを想像させます。
青空をゆっくり見上げ、蝉の声を久しぶりに聞いて、ほっとしたヒトのひとり、ふたり…。

私の中では、青空&蝉の声が、自由のない日々が終わった…というコトの象徴みたいに刷り込まれているのかも。

2015年の今年…。

「玉音放送」の原盤の音声ファイル初めて公開さて、それを巡って、現代語訳をつけて報道される番組もあり、その内容にぐっと踏み込んで感慨深さを感じたり。

映画やドラマで、玉音放送を阻止する動きがあったことを初めて知って、ならば、一歩間違えば日本は滅亡の歴史の道筋にはまり込んでいったかも?
…と思ったりもした。

戦後70年の今日は、そんなこともあって、何か特別感を纏った一日でもあります。

◆今日は、2015年8月15日/旧暦7月2日/文月癸亥の日
◆日の出4時59分 日の入18時31分/月の出5時23分 月の入18時39分

↓図鑑はこれを参照しました。セミのことならマジ充実、kindle版なら、欲しいけど、なぜかないのよねこうゆう本は