堀江貴文著『我が闘争』を読了。
堀江さんの本に興味を持ったのは、実は、ライブドアの強制捜査があってこのヒトが逮捕されたあと。
それ以前は、TVなどで面白がられ、選挙にまで立候補して、ややちやほやされていたそのヒトが、一転、いきなり極悪非道人扱い。
ワイドショーなどでは、いつものコトだけど、ちょっと尊敬もしていたニュースキャスターの方々までも、刑が確定したわけでもないのに、このヒトに冷ややかな取扱いをしているように見えた。
その急に正義感ぶるかのようなマスコミの様子が、かえって胡散臭く。
かえって、ホリエモンというヒトが際立ってしまう、そんな構図が感じられたりしたもんです。
つまり平たく言えば、このヒト只者じゃないんでは?
ってコトで、彼の著作を読み始めたらば、いちいち面白くてびっくり!
「100億円稼ぐ…」といったタイトルのモノも、エグイのはタイトルだけで、いつもビジネスに関しての大切なコトが書いてある。
特に、東日本大震災後に書かれた『0311再起動 君たちに東日本大震災後の世界を託す』は、It技術の可能性と、合理的で新しいヒトのつながり方みたいなものが描かれていて、今のところ、私の中ではホリエモン著書ベスト1。
このヒトの著作の特長は、きちんとした書き手を構成者において(世間ではゴーストライターとあまり良く思われない傾向もあるみたいだけれど、その本名は「構成者」。編集の世界では、きちんと確立したシゴトである)チームで本を作るという点かと。
だから、常に第三者の厳しい意見があって、議論しながら本が作られているような真摯さを感じる。
平たく言えば、どの著作も、ひとりよがりのところがなくて、ぐんぐん読ませるし、各所に読者の参考になりそうな要素がきちんとちりばめてある。
だから…。
『我が闘争』も、個人的には、あまり興味を感じない幼少期の話まで面白かった。
本書のキャッチフレーズの「堀江貴文、早すぎる自叙伝」は、まあいいとして、その生い立ちから今にいたるまでを描くのに『…闘争』と持ってきたのはなぜだろう。
その答えは、本書を読んでつかむとしても、ヒントはあとがきにあった。
<僕のこれまでの人生の「闘い」は(略)さしたる根拠のない思い込み、慣習、常識、ルールへの抵抗だった>
ああ、ホリエモンほど大胆不敵とはいかないけれど、これって、今の時代に生きる…とくに若い人たちはみんなそれぞれに闘っているかも。
ここに並んだ、「根拠のない思い込み」「慣習」「常識」「ルール」は、あるいち時代を作ってきた考え方。
しかし、時代が変わろうとするときは、悪しき慣習に成り下がる可能性も大きくて、変化の時代の当事者たちにとっては不安要素、不合理要素そのものである。
成功体験を持つ人々はそれでも固執するだろうし、ある意味戦わずに負けそうになっているヒト多数なのも事実。
本書で、著者が戦ってきた相手は、大企業や検察やマスコミ…のように見えるけど、いやそうなんだけど、その本性である「根拠のない思い込み」「慣習」「常識」「ルール」との闘争であることの意味のほうが大きい。
「思考停止」して、これらと闘わないから、すべてが不安でしょうがない時代。
それが、現代なのだと気づけば、未来はけっこう明るくないか?
…実は、堀江さん個人の半生を通して、そんな確信が得られてしまう一冊。
一応目次
第一章 田舎の優等生
第二章 パソコンと思春期
…ココまでは、幼少期から大学受験の話。パソコンを入手するためにとった手段とか東大受験のくだりが、ビジネスを立ち上げる感じに似た合理的さ。大学進学って、実はこんな程度のものに、多くのヒトが時間とお金をかけてるのかも?…とも思えてしまう。
第三章 ダメ人間
…その東大時代。大学の勉強は全然しないまま、堕落の日々から、少しずつのし上がる。プログラムとビジネスって彼の根幹なんだなぁ…と。
第四章 起業前夜
第五章 新米社長
第六章 上場
…ここでずいぶんもまれたんだなぁ。実は、同じころ読者(私)も、会社員としてIT事業の端っこに関わっていたので懐かしかった。とともに、私は編集者からいきなりコンテンツ作りに異動になった経緯があって、あのころ堀江さんのようにがっつりと興味を持っていたら…と思わないではない。
実は、出版業界の低迷の理由を勝手に感じてしまった(笑)。
…以降は、誰でも知っているコトがらの、著者が語る真相。
第七章 M&Aという選択
第八章 プロ野球参入
第九章 ニッポン放送買収
第十章 衆議院選立候補
第十一章 ライブドア事件
…世間で思いこまれていることと、もう180度ぐらい違うこともある。
興味本位でも読めるけど、日本の今の構造に暗澹たる気分にもなる。
ココで描かれたコト=堀江さんがやろうとしたことを受け入れる素地が当時の日本にあったなら、時代はもっと進んでいるはず。
既得権益を持つ人々(著者は、老害と切って捨てているけれど)は、確かに損はするかもしれないけれど、そのぐらい失っても、彼らはもう十分得るものを得ていて、別にいたくも痒くもないはずなのだが…何に固執したかったんだろう。