毎年一品だけ作ることにしている(なんちゃって)「おせち料理」。今年は、百合根の白いきんとんにしました。/12/30=旧11/20・庚辰

いよいよ、2015年乙未(きのとひつじ)の年も、あと2日!

明日はいよいよ大晦日。
となれば、江戸の頃から、人々はおせち料理の準備に余念なしといった日なんでしょうね。

しかし、平成の我が家は、忘れそうになっていた年賀状書きに四苦八苦。
世間では25日までに出せと急かしますが、どこにそんなに早々と出せるヒトが存在するんだろう!キィーッ!!
とかなっている年の瀬です。

で、もう年内は最低限だけ出して、あとは年明けにゆっくり「寒中見舞い」を出そうっ!
…となるのも例年のコト。
たいがい、いただいた年賀状の返事を書いてる格好になってさえ。

…皆さま申し訳ありません。

でも、今日の私はそんなものを書いている場合じゃあないのです。

おせち料理から、“ひと品選んで作る”をやらなくちゃ!

実は私。
数年前に「お節料理」の持つ深い意味を知り
⇒そうゆうモノをちゃんと作れるヒトへの憧れが強くなり
⇒「お節料理」を1年に1品ぐらいは作ってみよう!とやや余計な決意をしてしまった。

その年はいきなり「黒豆」にトライ
⇒もちろんうまくゆかず全然柔らかく煮えなかった。
⇒2年目も「黒豆」に挑戦し、なかなかの出来。

黒豆

で3年目は「伊達巻」(写真撮り忘れっ!いつかこれも再トライしたく!)、昨年の4年目は「筑前煮」きちんと作った。

筑前煮

で、今年はどうしようか…と、スーパーやら青果店やらを見学してまわる。

やっぱコレ気になります。…「百合根」

食用に作られたものとはいえ「鬼ユリ」とか「小鬼ユリ」の隣茎(球根)だそうで。
あっ!正確には根っこじゃあないんですね。

百合根20151228

以前は高価でなかなか手が出せなかった気がするが、最近、ひとつ250円ぐらいで売っている。
扱い難しいのかなぁ?
なんかお節に似合っている食材という気もするが…(いや、パッ!と可憐な花が咲いた方を想像してなんですが)

「私のお節は、栗きんとんとか芋きんとんじゃないのよ、白いきんとんなの」
「ああ、百合根でね」
「そうよ」

…いゃあ、神のお告げですかね?
百合根を買った年配のご婦人が、レジのところで堂々と宣言しておりました。

「百合根のきんとん」…惹かれます。
惹かれまくってしまいましたカミサマ!

いゃあ、だから、個人経営の小さな青果店って面白いんですよねぇ。
常連さんも多いし、そこで交わされる会話は、もうお料理知識とアイデアの宝庫です。

「百合根のきんとん」は、簡単でした。

さっそくネットで検索、大量のレシピが出てきましたが、まとめると、茹でて、砂糖を入れて、つぶして練る…だけ。

もっとも注意すべき点は、変色した部分を取り除く作業。

白い部分のみ

ここを端折ると、美しく白く出来上がらないんだって。

あとはひたひたの水と甘みを足して柔らかくなるまで煮て⇒つぶし⇒練る。

私としては食感も欲しいので、小粒でカタチいいもの少しとりわけ(半量ぐらい)、きび糖大さじ1ぐらい+水を沸かした中に入れ、透き通るまで煮て待機。
残りは、ひたひたの水+酢少々(と書いてあったので、理由は不明ですが、変色を避けるためかな?)で柔らかくなるまで煮て⇒うらごし⇒きび糖大さじ2ぐらいを入れとろ火にかけて練る。

そして、先に待機させておいた粒状の百合根をサクッと混ぜて、できあがりですっ!

ゆりねきんとん

おおっ!いいじゃないですかねぇ。

お節料理には、願いが込められている

合理的に考えれば、おせち料理って、正月早々台所に立たなくても済むように作ったもの。
であるには違いないと思う。
しかし、何にでも(大掃除にすら!)意味づけ、こじつけしたい、昔の日本人がそれで済むはずはなく。

お節料理にも膨大な意味があって、そこがなんとも面白い。

一例を申せばこんな風。

・「黒豆」⇒黒色は、邪を除ける。
そして、来年もマメに暮らせるようにと願いを込める。例によって語呂合わせですが(笑)。
・「数の子」⇒春告魚「鰊」の子どもというのがそもそも縁起良く。
ぎっしり詰まった卵の数にあやかって、子孫繁栄を願ってみた。
・「田作り」⇒干した片口鰯を炒って甘辛く煮詰めたもの。
かつて鰯は、田圃の高級肥料。使えば豊作といわれ、転じて、それを食して今年の五穀豊穣を願う。

お正月料理の意味は、そのほとんどが未来への「願い」なんですね。
しかも、健やかでとか、家族が増えるとか、無事な収穫とか、基本的なささやかなコト。

じゃあ「きんとん」の由来は?

「栗きんとん」の場合は、その色を財宝にたとえて、豊かな1年を願う料理だとか。
なんと、色に意味があるのかぁ。
とすれば白=プラチナとして、さらに豊かな1年とこじつけちゃおう!

「お節料理」⇒歳神サマと共にいただく膳という意味がある

これこそは、ちゃんと知っておきたい重要なコト。

本来は、まずカミサマに捧げた供物をいただくところからおせち料理の準備ははじまっている。
そして、聖なる火で煮炊きして、膳に仕立てる。
そうして整えた膳を、カミサマとともにいただく。

この一連のコトを、「直会(なおらい)」というそうですが、お節料理は、現代の庶民に残された「直会の膳」のひとつ。

食事を整える時から、もうそこに祝いの気持ち=カミサマをお迎えする気持ちが息づいているわけですね。

豪華なお重でなくとも、たったひと品でもいいので、やっぱり、この手で準備したい。
今年も、それを再確認いたしました。

さあ、今年こそは、きちんと包んで、実家帰省のお土産に!
(実は、昨年は冷蔵庫にしまったまま年を越させました・笑)

◆今日は、2015年12月30日/旧暦11月20日/霜月庚辰の日
◆日の出6時50分 日の入16時37分/月の出21時28分 月の入9時49分