1月最初の卯の日である今日は、亀戸天神境内の御嶽神社で「初卯祭」。縁起物「卯槌(うづち)」も不思議な魅力を放ってます。/1/10=旧12/1・辛卯・新月!

今年初めての卯の日である今日は、御嶽神社の「初卯祭」

といっても知っているのは亀戸天満宮の境内にある御嶽神社の「初卯祭」だけなんですが…。

亀戸天神

ここ数年、正月最初の卯の日が正月三が日にかかったりして、なかなかお参りにもいけず。
ふと暦をみれば、今年は1月10日なんでいけそうです。

目指すは、この不思議なカタチのもの!

…だったりするんですが。
もちろんお参りをして⇒社務所で授与いただくという順序ですよ!
って、言い訳めいてるな(笑)。

うづち

これは、この初卯祭のみに授与される「卯槌(うづち)」という縁起物。

六角形の木の棒の面にそれぞれ松、竹、紅白梅の絵が描かれており、頭には赤い紙。
松竹

それを五色の糸で結わえつけて、松竹梅模様の着物をお召しになったやんごとなき方が、お顔を隠してすっくっとたっているようにも見える風情。

あっ!梅のあるところも見てくださいね。
梅
反対側には、ちゃんと白梅もあって、なんだかとっても不思議カワイイ。

「卯槌(うづち)」は平安時代から、邪気払いの道具として宮中に存在していたもの

…だそうです。
いつものこのブログの参考書『日本年中行事辞典 (角川小辞典 16)』(鈴木棠三 著)によれば…。

当時のものは、<桃の木を使い、形は四角形。長さ3寸(約9センチ)、幅1寸(約3センチ)ほどで、縦に穴をあけ、そこに5尺(約1.5メートル)ほどある5色の糸を10~15本ほど通した。これは、宮中の糸をつむぐ機関「糸所」より献じられて、天皇の昼の御座の西南に掛けられた>と解説されています。
いやいや、ずいぶんと伝統あるものなんですね。

そして、天皇だけでなく、当時貴族の間でも贈答用にさかんにやりとりがなされたのだそうで、その様子は、宮中文学の「枕草子」や「源氏物語」にも描かれているとか。
ならば、「その描写を探して再読しようか」などとついつい沸き起こるものがあるのは、「卯槌」のパワーか?
何度も挫折し、読了の日はいまだ遠しのこのふたつの宮中文学。こんな興味深く可愛らしい「卯槌」なるものを前して、それらを読みきるヒントを得たような気もします。

最後に、肝心かなめの、この御嶽神社のご祭神のこと

御嶽神社

実は、こちらの神社に祀られるカミサマは実在した御坊様。
比叡山延暦寺の座主を勤めた法性坊尊意(ほっしょうぼうそんい)僧正という方で、この方は、「卯の日」の「卯の刻」に亡くなったため「卯の神」となったそうです。

ちなみに、卯の刻は日の出の時間で、卯の方角は東、つまり日の出の方角。
…と、考えれば、何か非常に新しいことが始まりそうなイメージを纏ったカミサマです。

そして、菅原道真の師だったとされる方ゆえ、天満宮境内に祀られている。
つまり、学問の神様の先生だった方ですから、学問の神様の神様といってもよいお方ですね。

実際、御嶽神社は天満宮の東側に位置し、それは日の出の方向=新しいものが生まれる側でもあって、お互い神様になられた今も、師は弟子に新しい学びを与え続けているかのような配置。

その縁日の縁起物「卯槌」に、古典文学を学ぼうというきっかけを見てしまうのもやっぱり道理と思いますが、いかがでしょうか?

◆今日は、2016年1月10日/旧暦12月1日/師走辛卯の日/新月!
◆日の出6時51分 日の入16時46分/月の出6時32分 月の入17時07分