今日は、「卯月八日」というひそかに特別な一日です。
…って、新暦の日々には、注意深く暦を見てないと忘れちゃうんだけどね。
それでも今年は、ギリギリ、リアルタイムにこの花の時期なんでちゃんと覚えておけました。
ぺんぺん草こと「なずな」です。
ええっ、なんで?
旧暦4月8日は、お釈迦さまのリアル誕生日=灌仏会。
西の方ではいまでも旧暦に併せて、灌仏会を行う寺院も多いと聞きますが、かつては江戸でもこの日お釈迦さまのお誕生を祝って法要がなされた。
そして、この花なずなが、灌仏会を執り行う寺の門前市で売られていたんだそうです。
出典は、明治・大正の浮世絵師・菊池貴一郎(四代目歌川広重)の『絵本江戸風俗往来』 (東洋文庫 (50))。
その記述によれば、「ぺんぺん草(=なずな)と俗称する草を売る。ぺんぺん草はこれまた毒虫の害を去るとて、毎夜ともす行灯につり、また雪隠の隅につるし置くなり」とあって、実は、虫除けのまじないとして売られていたみたいです(笑)。
用途はちょっと灌仏会に関係ないけど、どんな風に売られていたかは気になるところ。
大振りの花束にして?
それとも1輪をひっそりと竹筒に差してとか?
…と、その様子が、毎年一番気になることですが、いまだ、そこを詳しく解説した記述にあたったことがありません。
しかたないので、わが家では勝手になずなを花瓶に飾る。
といっても、やっぱり最盛期は過ぎたので、ちょっぴりです。
ボリューム出すため、他の草花も混ぜもします。
まあそれでも、この花は、こうして飾ると雰囲気ある花。
しかし、これが、なぜ毒虫よけなんだろ?
ちなみに、なずなは、春の七草のひとつなんで、この草じたいには、虫を退治する毒性はないけどね。
「卯月八日」は「山の神の祭日」でもありました。
実は、旧暦4月8日をあえて「卯月八日」と呼ぶと、農事に重要な一日にもなります。
人々は、この日は、農作業を休み、山に登って花見をしたり海のほうを眺めたり、飲食などして、今風に言えばピクニックに興じたそうです。
そして、この行事が、そのまま、山のカミサマを里に迎えるための神事でもあった。
山のカミサマは、春になって里へ迎えられると、田んぼを守るカミサマになるってわけなんですねぇ。
つまり「卯月八日」は、神迎えの一日。
帰路は、カミサマと一緒に山を下るわけですが、その途中、山に咲く季節の花や草を摘んで帰り、この日いらしたカミサマにお供えをする地方も多く、花は、その場所によって、藤であったり卯の花であったり。
ふーむ、もしかすると、その中になずなだってあったかもしれませんね?
里へ帰れば、花々は、家の軒にさしたり、家族の人数分の竹花筒を用意してそこにさしたり、中には、外に高い竿を立ててその先端に複数の花を束にして結びつけるというなかなかに華やかな風習もあるみたい。
それは、今も、京都・大阪から中国・四国あたりの神社で「天道花の神事」として受け継がれています。⇒「天道花の神事」で画像検索したら出てました!わーっ!本物観たいなぁ。
◆今日は、2016年5月14日/旧暦4月8日/卯月丙申の日/上弦の月
◆日の出4時37分 日の入18時38分/月の出11時43分 月の入0時23分