七十二候は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」。っていったってなぁ…。都会に蚕はほぼおらず。だけど、桑の木は探せばあるかも?実はいまごろ実を結ぶ季節でもあるんです。/5/21=旧4/15・癸卯

季節の暦・七十二候は、二十四節気「小満」とともに「蚕起食桑」の時期に入りました(5月20日~25日)。
「蚕」=かいこ「起」=おきて「食桑」=くわをはむ…と、珍しくストレートに読めて、意味もそのままそのとおり、「孵化した蚕が、桑の葉を食べる時期」という意味。
卵から孵ったことを、「起きて」と表現したあたりがちょっとユニークですね。

…なんですが、もはや、東京どころか、日本全国で蚕を飼っているいる場所ってどのくらいあるんだろう?

東北の母の家の周辺は、かつて蚕を育てる農家が多く、見渡せば桑畑なんて光景も普通だったとか。
「蚕さまの桑を食む音が、一晩中続く雨の音みたいだった」とか。

そんな話も聞きますけどねぇ。
それも今は昔。

あれれ?桑の木が実をつけている?

というのは、その東北の母の家の裏庭の一本。

桑の実

ちんまり、虫みたいなものが生っています。
ああ、もしかして、蚕がその成長のために桑を食べる時期って、桑にとっては実を結ぶ季節でもあるんですね。

そこを、桑そのものではなく、それを餌とする蚕のほうにフォーカスしたあたり。
七十二候がリアルで使われていた江戸時代の人々の生活を彷彿させますね。

東京でも古い団地の庭には桑の木があった!

高度経済成長期に建てられ、東京にもたくさん存在している団地。
この10年ぐらいでどんどん再開発されてしまいましたが、惜しまれるのは、そこにあった樹木。

実は、東京の地でも珍しい草木探しのメッカでもあったのです。
もちろん、桑の木も各所で発見の経験ありっ!

桑の実

これは、今は再開発された阿佐ヶ谷住宅に生えていた桑の木。
写真を撮らせてもらいつつ、その持ち主の方から、桑の実はあげられないけど、枇杷の実はもらってくれない?とオレンジの実を差し出された。
今は昔の忘れられない思い出です。

桑の木の主は、枇杷の木も無花果の木も小さな前庭でしっかり育てていたのでしたが、もうそれもみんななぎ倒されちゃったんだろなぁ…残念すぎます。

そして、私はほくほくと枇杷を抱えて中央線で帰った。
その記憶からすると、桑の実が赤く熟すのは、6月ってことですね。

東京で一か所、「蚕」が「食桑」といえば…。

皇居です。

今年も、皇后さまは、蚕を育てられている。⇒ご養蚕[天蚕山つけご作業](吹上西通り)
「天蚕山つけ」とは、蚕の卵(種と呼びます)をクヌギの枝につける作業みたい。
孵化するのはクヌギの木なんだぁ…。

で、これは、5月2日のニュース。
というコトは、皇居の蚕は、もう孵化して、そろそろせっせと桑を食べている頃でしょうね。
ふーむ、これは、ぴったり暦とおりです。

◆今日は、2016年5月21日/旧暦4月15日/卯月癸卯の日
◆日の出4時32分 日の入18時44分/月の出18時04分 月の入4時13分