偶然、「葉鶏頭」の花を見つけたので「新・秋の七草」のこと。こんな秋の七草知ってました?/10/29=旧9/29・甲申

昭和の初めに「新・秋の七草」が存在してたの知ってます?

時は、昭和10年(1935年)のこと。
毎日新聞社の前身である東京日々新聞社主催で、著名人七人に依頼、ひとり一種ずつ挙げてもらって秋の七草としたらしいです。

「春の七草」はともかく、山上憶良さんによる「秋の七草」は、時を同じくして咲かないのがちょっと残念。
やっぱ、平成の世と、奈良時代では、気候も環境もかなり違ってるでしょうからねぇ。

昭和バージョン「新・秋の七草」はこんな風

◆葉鶏頭
ちなみに、このテーマでいってみようと決めたのは、ご近所でこの花を見つけたから。

葉鶏頭

葉鶏頭って、花屋さんで売られているのは知ってたけど、民家の鉢植えで見たのは実は初めてだったりします。
もちろん、よく行く庭園・植物園にも皆無。

さて、話は戻って…。

・葉鶏頭の選者は、劇作家・小説家の長谷川時雨。
ああそういえば、もうこの方の作品って図書館にいかないとないかもなぁ。
ちなみに私は、彼女が育った日本橋の様子を書いた『旧聞日本橋』が非常に好きです。

◆秋桜(コスモス)

秋空に秋桜

・選者は、小説家・菊池寛。
文藝春秋社を創った方でもありますが、彼の風貌から考えると秋桜ってちょっと意外です。

◆彼岸花

彼岸花赤白

・選者は、歌人の斉藤茂吉。
精神科医&随筆家斎藤茂太、同じく精神科医にして小説家・北杜夫のお父さんですが、うーんこの方ももう知る人ぞ知るなのかなぁ?

◆赤まんま

正式名称は「犬蓼 (いぬたで)」ですが、「赤まんま」の名で選んだとこが、いい感じです。

イヌダテ

・選者は、俳人・高浜虚子。
正岡子規のお弟子さんですね。もしも、正岡子規が生きてたら、秋海棠か鶏頭かな…と思ったら、秋海棠を選んでいる方いますね。

◆菊

菊

・選者は、植物学者の牧野富太郎。
ああ、やっとなじみ深い方(←個人的にってことです。一般的にはどうなのかな。)
そういえば、こんな美しい本が出ています。
『牧野富太郎選集』(全5巻、1970、東京美術刊)を底本として再編集された一冊は『なぜ花は匂うか』と題されて、牧野博士の自由人ぶりが存分に。
そんな彼が、秋の正統派の花「菊」を選んでるのも、これまたちょっと意外。なので写真は、ちょっと気楽な小菊にしてみました。

◆おしろい花

おしろいばな

・選者は、歌人・与謝野晶子。
歌集『みだれ髪』を上梓し、情熱的な内容が1901年の日本を騒がせて、日露戦争時には、『君死にたまふことなかれ』と歌っていろんな意味で波紋を呼んだ。ちなみに、私はこの方の現代語訳『源氏物語』ぐらいは通読してみたいと思っているけど、未だなされず…。

…って感じから、私的には乙女なイメージを纏ったおしろい花が出てくるとは!これは不思議。
おしろいという名から、彼女は、もっと妖艶なものをイメージしてたのかしら?

◆秋海棠

秋海棠

・選者は、作家・永井荷風。
濹東(ぼくとう)綺譚 』や『日和下駄』を書いたダンディなおじさま。
…という個人的には、華のある方だったんじゃあないかなともイメージしていて、秋海棠かぁ…渋いなぁ。

ということで、この「新・秋の七草」選び。
ちょっとバラバラな印象で、その後、平成の世までまったく続いてないのもうなずける感じ。
だけど、作家と花のイメージをひとつひとつ追ってみると、面白いです。

山上憶良バージョンの秋の七草を再復習。

「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花」

その順番に並べてみました。

秋の七草

やっぱり、統一感と、秋のちょっと寂しい感じは、こちらのほうがよく表現されてるような…。

そして、先の昭和バージョン。
私だったら、この方々にひとり7つずつ考えてもらうなあと思う。
そのほうが、統一感ある秋七草が七バージョン見られて楽しいだろうよ。

新聞社主催だから紙面の都合か?

そして、来年は、やっぱ個人的に「勝手・秋の七草」も選んでみようと心に決めた。
これを選ぶのはかなり楽しいと思います。

◆今日は、2016年10月29日/旧暦9月29日/長月甲申の日/月齢28.1日
◆日の出6時00分 日の入16時49分/月の出4時20分 月の入16時14分