下田直子さんの『手芸術』を読了。
いやぁ、美しい本です。
表紙は、バックに施された刺繍ですが、もうそこから美しい一冊。
そして、なんだか触発されまくりってしまいました。
学生時代は、授業そっちのけで、セーター編んだり(←こっちは才能あるかも?)。
お金のない20代は、衣服を手作りしたり改造したり(←こちらは、いまとなってはよくこんなものを着て人前に(*_*)…という代物。才能皆無)。
つまり、腕は全くよくないのでがっかりするのですが、ハンドメイドは大好き。
しかも、手芸関連の雑誌の編集者なんてのをやってたこともある。
だから、もちろん手芸作家の下田直子さんのことは知っていた。
書店にいけば、実用書のコーナーにその著作は並んでいる
だけど、表現されている作品はアート…だろうな的な印象。
たとえば、そこから、どうしても持ち帰りたくなり買ってきて、時々、眺めてため息ついているコレ。
この一冊なんか、もう博物館の図録を眺める感じで、手に取っている。
博物館の図録やら、アートの写真集やらの高みに居ながら、つくり方が書いてあるのかぁ…みたいな、個人的には少し違和感。
だから、自分で手を動かそうとは思わなかったのである。
だって、レベル高すぎです。
ところが、読んでいきなり何か作ってみたくなるのは、
『手芸術』のパワーか?
本書は、バッグやセーターを作りなさい。
刺繍の図案はこうですよ。
…みたいな実用部分より、下田直子作品を成り立たせているエッセンスに焦点を当てた一冊。
だから…。
私「ここはどうなってるの?」
下田「それはね、こんな道具を使うのよ。この素材もステキかもしれない。」
…みたいな、手芸家の「技」のヒント。
「センス」の秘密というか秘訣というかが満載。
これはもうね。
私の下手な手作り品にも、下手なりに活用させていただけそうな。
初心者には美しく作れないかもしれない「技」かもしれないけれど、面白がれるアイディアの宝庫なのである。
いつもは「すごい」としか思わなかった、作家のセンスや技は「楽しそう」なのである。
今年の針供養の日に、お針箱を整理したことだし。
そこにこんな素晴らしい一冊。
もう、今年は、手作りしてた日々に少し戻ってみようじゃないかと、最後、付箋をした気に入りのページを再度ゆっくり眺めて、本を閉じ…。
こうゆう一冊が、日々を豊かに潤わせるんじゃないかなぁとまで思った次第です。
↓偉人の知恵を借りるつもりで読む。