昭和の日が見ごろ?…な気がする「紫花菜 」/旧4/1・庚午

昭和の時代の4月29日は、「天皇誕生日」。
それが、「みどりの日」になったのは、昭和天皇が崩御された1989年で、なぜだかさらに2007年に「昭和の日」と呼び名を変えて、「みどりの日」は5月4日に引っ越しました。

それでも、4月29日の朝は「今日はみどりの日」という感じがしてしまうのは、しばし慣れ親しんだということもあるけれど、この日生まれたその方が、生物学者として植物に造詣が深かったからかもしれません。

そして、その学者らしいまなざしを草草に向けて、様々なシーンで「雑草という名の草はないよ」とおっしゃったという有名なエピソード。
その記憶があるからかもしれません。

今日は、長い初夏の休みの第一日目。

別に勤め人でもないのに、やっぱり嬉しさあまって寝てられません。
いつもよりずっと早起きをして朝の散歩に繰り出すと、空き地や土手の一角がムラサキ色に染まっています。

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近づいてみれば、「紫花菜(ムラサキハナナ)」が群れなして咲いています。

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「紫花菜」は、高貴な紫色が園芸種のような印象にも思え、ある日、群生して咲く花を1本いだだいてから「もしやこれは農作物?」と少し焦った経験もあるのは、あきらかに、他の草が駆除された中にそれだけ残されていたからです。

しかし、後で調べて、けっきょく野に咲く立派な雑草。
草むしりしてもなんとなく抜きがたく残されていたのでしょう。

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キレイですものね。

華やかに咲く雑草は得だと、ほっとした拍子に、ふっと脳裏にのぼった言葉は、「これこれ、雑草という名の草はないよ。」

それは、耳元で諭されたような記憶としてはっきりと残り、だから、この言葉は、今日の日のキャッチフレーズです。
朝の散歩はまだまだ続き、初夏の草草の名前を数え上げながら歩くことになります。

東京地方の「紫花菜」は、菜の花の黄色がそろそろ終わる晩春から初夏の空き地や土手を紫に染めるように群生して咲きます。

大根と同じアブラナ科なので、ときどき「花大根」と呼ばれるようですが、ためしに根っこを抜いても大根はなっていません。ただ、出始めの若葉は食べることができるそうで、菜の花と同じく種子から油も採れる。

…野菜と野草の境界線のような植物ですね。

正式な名前は「オオアラセイトウ」。

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これは、植物学者の牧野富太郎博士が名づけ親なのですが、その名称の是非に関してある年、論争がおこります。

論争は徐々に激化して、なかなか決着が付かなくなったとき、「牧野富太郎が最初にオオアラセイトウと名付けたのだからそれでいいではないか」の鶴の一声を発したのは昭和天皇。
そして、この名に落ち着いたというエピソードを見つけました。

それでも、やっぱり、だれも「アラセイトウ」とは呼ばす、「紫花菜」とか「花大根」とか呼ばれて今日に至っておりますが、「紫花菜」と昭和天皇には、こんな、はっきりした縁があったようです。

さて、昭和の日は、祝日法によってその趣旨を「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」とされています。
ああ、なんだか重々しい位置づけで、のどかな休暇の最初の日らしくなく、個人的には馴染みません。

けっきょく、終日、木々を見上げて、初々しい若葉を眺め、草草を愛でる。

今年は、すでに土日から突入している方もいるでしょうが、正式なゴールデンウィークは、過去に「みどりの日」だった1日ではじまるというのが私の気分。
それなら、中日の「みどりの日」まで、植物図鑑を傍らに、新しい草草との出会いの日々であってもいいかもしれません。

◆今日は、2014年4月29日/旧暦4月1日/卯月庚午の日/新月

コメント

  1. 安田裕隆 より:

    ここは与楽寺坂ですね。
    かつて通勤路として4年間登っていた坂ですね。 懐かしい。

    今年のGWは、新大阪の事務所移転の事務局をやっていて、しかもこの半年のドタバタの集大成が5月3日~6日なので落ち着きません。 ちなみに今日もこれから休日出勤して共用荷物の洗い出しです。

    ここ数年、GWは高知で過ごすのが通例で、当然のごとく五台山の牧野植物園にも行きますが、今年は隣接する五台山竹林寺の秘仏・文殊菩薩さまが50年に一度のご開帳の年です。 まさにこの5月がご開帳の月なのですけれど・・・と悔しいGWであります。

    しかし、懐かしい与楽寺坂と雑草(笑)を見られて、和みました。