降霜がなくなる目安の八十八夜はもうとっくに過ぎて、立夏、小満…とすぎれば、いよいよ農作業が本格稼動する季節到来。
東京都心だって、花屋やホームセンターの店先に、野菜の苗木が売られる季節となりましたよ♡
いきなり江戸時代にワープしますっ
現代ならば、どこぞの店先やらネットで求める、これら苗木。
江戸時代には、天秤棒に担がれてこの町にやって来たというのが、個人的には羨ましい。
◆菊池貴一朗の『絵本江戸風俗往来』によれば、こんな風です。
そして、その行商の掛け声は、「田舎めきたる声して、日々売り歩く」とあります。
「朝顔の苗や、夕顔のーない、玉蜀黍(とうもろこし)の苗やぁ、へちまの苗、茄子の苗や唐辛子の苗、お白いの苗や黄瓜(へちまとルビがありますが、たぶん、きゅうり)の苗、瓢箪(ひょうたん))の苗や冬瓜(とうがん)の苗」
…と。
「お白いの苗」ってなんだろう?
…とは思いますが、あとは全部知ってますね。
行商の掛け声を知れば、江戸当時のポピュラーな野菜や草花がわかるのも面白いです。
苗は、空き地の多い郊外や武家地では、実益を兼ねて小さな畑に植えられたようですが、当時もまったく畠などなかった日本橋辺りでも売られ、「買い得て、植木鉢などに植えつけて、水道の水の肥やし、末は塵溜へ年貢を納めるを常とす」
…と続く。
ありゃりゃ?
畠仕事の知識もない人々が珍しさに買い求め、最後は結局枯らして捨てていた…ってことでしょうか?
なんだか、今も昔も少し似ています。
現代でも、ぜひ売り出していただけないかという「稗(ひえ)蒔」という物
「稗(ひえ)蒔」は、若月紫蘭著『東京年中行事』に詳しく。
それによれば「土焼きの小鉢に野稗(ひえ)を蒔いて、これに焼き物の鷺、百姓、帆掛け船、橋などをあしらって、いわゆる田舎の風景を作ったもので、まだいわゆる米のなる木を知らぬものの多い東京の市中では、それがなかなかに珍重される」とありました。
盛夏の縁日などに時々売られる「釣り忍」とコンセプトが似ているような気もしますが、コレっ!見てみたいですね。
ちなみに、この「稗蒔き」を辞書で引けば、「鉢・水盤などに水を含んだ綿を置いて稗をまき、芽が出たのを青田に見立てて涼感を楽しむ盆栽」と出ています。
ならば、これから盆栽市などをマメに覗けば、現代に続くコレに出会えたりするんでしょうか?
ないなら、誰か復刻してくれないかしら?
さて、現代の東京の野菜の苗の話にもどって…。
店先に並び始めた野菜の苗は、今が最後のかき入れ時とばかりに賑わいを見せています。
花の苗なら、種類をいとわなければ一年中購入可能ですが、野菜は、この時期を外すと、あれれ?というぐらいお目にかかれなくなります。
あとは、秋も始まろうという9月頃に葉物の苗が並びますが、やはり、トマトや茄子など、花は可愛く、野菜のフォルムも観賞するに面白く、さらに食卓も彩る…と三拍子揃った夏野菜の苗は、今ごろだけのものです。
うーん、今年は茄子を育ててみようかなぁ…。
でも、ベランダのプランター栽培ではちょっと難しいともききます。
シソは外せないかな?
スーパーでちまちま買うより絶対オトクなシソは、毎夏、育てては、夏じゅうせっせと活用しおりますが、どうも硬く育ってしまう。
昨夏、それは日に当てすぎだからだと知って、日の当たらないところにマメに鉢を移動してみたら、なんと!
いい感じに育ちました。
他に、今年は、ミントやローズマリーなんかも育ててみたいなぁ。
そうそう、夏の日差しをさえぎる緑のシェードもやってみたいねぇ。
ゴーヤ…ではなく、ココは、江戸市中で商われていた苗からひとつ選んで朝顔を。
茄子はやっぱり、難しそうだし、へちまは場所が狭すぎる、瓢箪なんか売っていないし…というコトでの選択なんですけどねぇ。
でも、それって野菜じゃあないじゃん(笑)。
まあいいか。
昨年は、アパートの大規模修繕にて、ベランダが使えず。
今年は、いろいろ育てますわよ!
◆今日は、2014年5月25日/旧暦4月27日/卯月丙申の日