夏のさなかは、爽やかな黄緑色。
ふわふわぼんやり漂うようにそこに生え、それほどめだった植栽ではありません。
それが、あっという間に秋が来てピンクになって急に存在感を増した「ほうき草」です。
……。
あっ、失礼。
これは、一昨年、我がご近所(やや無理やり)上野公園にて行われたイベントに参加していた「ほうき草」。
目玉をつけて、大勢並び…。
巨大な鏡に映ったのを集団で眺めておりました。
…いや、いや、そうじゃなくて。
(すみません。いきなりやや脱線です。でも可愛くない?)
名前の由来は、そのカタチを見れば一目瞭然。
こうして、可愛くならんで生えているのを、想像の中でひっくり返して…。
棒を突けたら箒に似ていますよねってことで。
で、想像だけでなくて、昔は茎と枝を乾燥し、実際に箒として利用していたからこの名前なんだそうです。
ちなみに、学名のKochia scoparia(コキア・スコーパリア)。
この「スコーパリア」も「ほうき状の」という意味だそうで、やはり、その名の由来は、箒に似ているそのカタチなんでしょうね。
ほうき草は、ほうき以外に、食べ物にもなる
実は、秋田の名産、畑のキャビアといわれる「とんぶり」は、このほうき草の実なんです!
そうと知って、よーく近づいて見れば…。
この赤いプチプチが実なんでしょうか?
うーん、もうすでに口の中までプチプチ言ってるような気がします。
さっきまで、ほうきに似てると思った端から、いきなり食べる気満々。
しかし、ほうき草からとんぶりを採るには気の遠くなりそうな作業が立ちはだかっているようです。
ということで、とんぶりの作り方をざっくり。
・時期を終えて茶色くなったほうき草を足元から刈り取る。
↓
・細かな実を脱穀。
↓
・脱穀した実を、鍋でぐつぐつと煮る。
↓
・冷水で何回も何回ももみ洗いして皮を取る。
この作業は、時期的には、冬のはじめ…確実に手はかじかみます。
うーん、とんぶりになるまでの加工には、気の遠くなる手間が立ちはだかっているようです。
ちょっと高価なのも納得だし、やっぱ、その名の通り、時期が過ぎたら、箒(ほおき)にするのがいいんじゃあないですかね。
さて、ほうき草たちは、気温が下がるに従い、やがてもっと色づいて真っ赤に燃えるようになります。
そういえば、北風の吹く頃になって、それまで庭を彩っていたそれが、軒下に吊るされて。
→数日後、そのまま、カワイイ手箒になって、門柱のところにぶら下がっていたのを見た記憶があります。
あのお宅はどこだったろうか?
…とぼんやり思う。
この種も、色づいてしまえば、もう冬を思わせる。
ついひと月前が夏の気候だったのが、ちょっと信じられない気分です。
◆今日は、2014年10月29日/旧暦 閏9月6日/長月癸酉の日
◆日の出 6時00分 日の入16時50分/月の出10時45分 月の入21時19分