ふと、見れば、街路樹の根元に、石蕗(つわぶき)が黄色い花を咲かせております。
石蕗は、「夏の蕗」に対して「冬の蕗」。
つまり、これが咲いたとなればもう冬ですか…。
ところで、夏の「蕗」と「石蕗」。
名前と葉っぱは似てるけど、花の印象はまったくもって違う。
なんで近しい名を付けた?
と思うけど、ちゃんと比べてみるとやっぱり、かなり似てます。
・葉っぱのカタチ
…はもちろん。
・花茎を伸ばした先に小菊のような花をまとまって咲かせる様子。
・種はたんぽぽのように綿毛をつけるところまでよーく似ている。
それならば一応と調べてみたら…。
「蕗」はキク科フキ属の多年草。
「石蕗」はキク科ツワブキ属の多年草。
似ていて当然、従弟ぐらいに近い品種なんでした。
この艶々した葉の若葉や茎で、キャラブキを作る地方もある?!
ええっ!そうなの?
…と、それには軽い驚き。
だって、今日の街路樹の根元はイレギュラーな咲き方で、「石蕗」って、ちょっと手の込んだ庭園などで丹精される系の植物じゃなかった?
でもね、「石蕗」はあの面倒な筋とりが必要なしなんだって!
ふーむ、俄然食べ物としての興味津々。
ラクならなんで食方面で売りだされなかったのかしら?
…って、「石蕗」が蕗ほど、ガシガシ増えるってわけでもないとか?
そんな扱いをしたら、冬にこの美しい花を楽しむことはできないとか?
いやいや、少し歩いたら、雑草なみに咲いてました。
同じ蕗なのに、違った人生、いや「草生」を歩んできたものです
…なあんて、ちょっと擬人化すると面白い「蕗」と「石蕗」。
初夏の「蕗」は野菜としての扱いもあるにはあるが、基本自由奔放な野生の植物。
冬の蕗「石蕗」は立派な日本庭園などに好んで植えられ、葉っぱに斑入りの装いまでされて、深層の令嬢といった趣の草花。
同じ一族に生まれながらも、選び取る道を少しずつ違えて、気づけばずいぶん真反対の人生を歩んできてしまった二人の女性を見るような。
そんな気分になるからちょっと不思議。
しかし、時代が変わって「石蕗」だって、その辺で普通に花咲かせる自由を獲得しているみたいですね(笑)。
真冬を迎えて種を実らせ茶色い綿毛状に変化を遂げます。
しかし、葉っぱは、緑色のまま冬越しをして、そこに雪が降り積もったとしても案外丈夫。
寒さにも雪にも負けず、艶々彩り良い葉を茂らせてくれます。
そこは、寒くなってしまえば、あっという間に枯れて消えゆく蕗との大きな違い。
季節の移り変わりに従順な「蕗」と、果敢に立ち向かっているような「石蕗」。
そんな比べ方もできますね。
「つわぶき」の名は、葉に<つや>があるから<つやぶき>となって、それがなまってこう呼ばれるようになったのだとか。
そこに「石」と強そうな字を当てたのは、美しい花を咲かせるくせに、寒い冬に、緑のまま過ごす。
その容姿にたがえて勇猛果敢なイメージに対して付けられたものでしょうか?
…ふふふ、大好きな「蕗」と、同じ種族と知ってしまったゆえに、ついつい、想像、妄想が膨らんでしまいました。
◆今日は、2014年11月6日/旧暦 閏9月14日/長月辛巳の日
◆日の出 6時07分 日の入16時42分/月の出16時22分 月の入4時59分