初冬のいまごろは、やっと山茶花(さざんか)が花やぎはじめ。
石蕗(つわぶき)の黄色も目に暖かく。
気にしていないヒトも多いけど、八手(やつで)の花も、言われれば「ああアレね!」と、視界にはちゃんと入っている。
しかし、冬場はレアもの花も多し。
目立たない、香らない。
しかし、誇らしくも美しい花を咲かせる冬の花
って、見当がつきますか?
それは、コレと…。
何の花かわかります?
ヒントは葉っぱの造形…ですが、それでもわからない方がけっこう多いのかもな。
答、上は柊の花、下は、枇杷の花です。
柊は、クリスマスケーキに飾られる赤い実&葉っぱ(といっても赤い実は西洋柊、この種は、黒い実をつけますが…)。
枇杷は、この葉っぱにオレンジの実がなれば、誰にだって一目瞭然。
なのに、花はけっこう日陰モノあつかい?な感じですよねぇ…。
でもでも、どちらもすごく愛らしく美しく。
近寄って見てみましょうか。
これが柊の花。
こんなカタチのブローチがあったら欲しいなと思う。
枇杷の花は、キャメルと白の色合いがシックでおしゃれです。
どの子もキャメル色のマフラーをして、そこから白い顔を覗かせているみたいに見えませんか?
実はこの花たちも香り花
最初に香らないと書いたけど、実は、近寄って見ればどちらもかぐわしい香りを発しています。
特に、柊は、モクセイ科モクセイ属。
金木犀や銀木犀と同じ種の樹木なので香る花の仲間なのですが、銀や金木犀のように主張して香るわけでもなく、香りはそっと。
そして、どちらも、背高な上の方に花が付いて、人間のハナを近づけられないゆえに、香りがヒトのほうまで届きにくいという意味。
実は、人知れず香っております。
柊も枇杷も、地味にヒトを守る役目を担う
…とこのあたりもこのふたつの共通点かと。
柊は家の鬼門を守る役割を持ち、北東の表鬼門に植えられ、邪悪なモノの侵入を防ぐ。
(ちなみに、反対側の南西・裏鬼門には、南天の木が一般的です)。
我が東京の下町では、節分の時期、鰯の頭と柊の葉で作った魔除けを門口に飾ったりもします。
一方、枇杷は、その葉は汗疹や捻挫、打撲に効くと、古くから漢方薬として広く使われているそうで、木は、折れにくいので木刀や杖などにも使われるらしい。
こちらは、リアルにヒトの生活を守っております。
花は、植物のいちばん華やかな時期と思っていたものですが、こんなひたむきにけなげに咲く、よーく見なければその美しさに気づかない種もあるんですね。
しかも、他の誰よりも、淡々と役にまで立つ。
もう、ココまでくれば、尊敬に値する花とも思えてきます。
とにかく、枇杷の葉っぱと、柊の葉っぱを見つけたら、よーく花を探してください。
◆今日は、2014年11月20日/旧暦 閏9月28日/長月乙未の日
◆日の出 6時21分 日の入16時32分/月の出 3時45分 月の入15時06分