明日は、二の午・お稲荷さんの縁日パート2。今度は、江戸からつづく江戸限定の初午祭「地口行灯」を見にっ!/2/22=旧1/4・己巳

明日は、2月二回目の午の日=二の午です。

2月11日の初午祭に続き、二の午もお稲荷さんのご縁日が祝われますが…。

とっておきのおススメは、千束稲荷神社の地口行灯

「地口行灯」ってなに?

はいはい、こうゆうものです。

坊主ひくけりゃ

書いてある「坊主がひくけりゃ 下駄までひくい」は、江戸人のコトバ遊び「地口(じぐち)」というもの。
元ネタは「坊主が憎けりゃ 袈裟まで憎い」…ですね。

「ぼんととうなすがいっしょにきた」なんてのもある。
盆と正月

もちろん、元ネタは「盆と正月がいっしょに来た」ですね。

こんな風に、ことわざなどの江戸時代の庶民が使っていたコトバ、加えて歌舞伎などの芝居のセリフなどなどを元ネタに、ちょっともじったり、洒落てみたりというのが「地口」。
平たくいえば、まあ、ダジャレ…ですね。

その「地口」と、それを説明するユーモラスな絵「地口絵」を、箱行灯に描いたものが「地口行灯」。

行灯の上半分には必ず、青と赤の波線が、わざと紙に水がしみたよう描かれ、これは、平安時代から伝わる「打曇(うちぐもり)」という模様。
そこに重ねて上半分に字が、下半分に絵が配される。

…というように地口行灯には、きちんとした様式があって、親方から弟子へとずーっと伝え続けられてきた由緒ある意匠なんだとか。

江戸の初午祭といえば、お稲荷さんの境内に「地口行灯」を飾るのが決まりだった。

もちろん、2月の午の日には、全国津々浦々のお稲荷さんで、さまざまな祝い方がされますが、この地口行灯は、江戸限定の冬の風物詩。

ちなみに、江戸市中のお稲荷さんの数といったら、半端なく数多く。
となれば、もう町中が地口行灯だらけ…だったかもしれません。

しかし、この現代では、そんな風流なコトをやってくれるお稲荷さんは、もう数えるほど。
で、そのひとつが、台東区・千束稲荷神社ってわけなのです。

千束のお稲荷さんっ!
二の午を明日に控え、今日2月22日には飾りつけ完了っ!

これは、昨年の写真ですが、今日もこんな感じで、大量の地口行灯が並んでいるはずです。

鳥居の前の飾り

鳥居に堂々飾られているのも行灯で、特別に「またぎ」と呼ばれる。
狐の面をかぶった謎めいた女と男…が、岸辺で別れるシーン…かな?
歌舞伎のいち場面なんだそうですが、不勉強につき不明。

とにかく、普段は、ひっそりとビルの谷間の街に溶け込んでいる千束稲荷神社も、今年は、遠目でも派手派手しく。
しかも、日が暮れると行灯に明かりがともってなかなかに風流な光景が繰り広がります。

しかし、モンダイなのが、飾られる地口行灯が、毎年、少しずつ違っているってコトでして…。

あれれっ!
毎年同じものを飾ってると思っていたら、微妙に違うっ!

と、昨年久しぶりに千束稲荷を参詣して、発見!

で、何がモンダイ?

いや、となれば、全部見てみたくなりません?

ってコトで、以降、お参りがてら、記録もせねば…と思ってしまった。

→境内の全部の「地口行灯」を写真に撮る。(社務所で聞いたら、撮影は可だそうです)
→写真を整理し
→元ネタを調べ
→ブログに公開しなけりゃなぁ
…って、コトに。

いや、自分で勝手にやってるだけなんですが…もう、こうなると我が性(さが)です(苦笑)。

ちなみに、この「地口」は、ダジャレとはいっても、「落語」とか「歌舞伎」とか。
あるいは歴史上の英雄、武家の家紋…なんてのもあったなぁ。

たとえば、この「こものもろのう」

こものもろのう

歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』の憎まれ役、敵討ちに遭う高師直(こうのもろのう)のもじりです。
高師直は、正装の黒烏帽子姿で殿中で斬りつけられ→亡骸は菰(こも)を被せられる…って設定。
だから、この烏帽子かぶって菰をまとったこの姿なの?

…って、とにかく、元ネタのレベルが高く、江戸の庶民文化を知らなければ、もう意味不明のお手上げです。
この「こものもろのう」だって、たまたま『仮名手本忠臣蔵』の有名な場面だったから…といっても、あやふやな知識なので最初はピン来ませんでした。

と言う風に、調べるのに時間がかかり、実は、2014年バージョンはまだ手つかずだったりします。

ああ、「地口行灯」…笑えません。
…いや、絵を見るだけでも笑えはするんですが。

なのに、今年も、やっぱりしっかりデジカメ持って、千束稲荷神社まで出かけでみようかと思います。
手つかず「地口行灯」コレクション(写真ですが)が増えてゆくだけなんですが…。

◆二月午の日の地口行灯が見られるところ
◎台東区・千束稲荷神社 毎年新暦二の午とその前日
◎台東区・吉原神社 毎年新暦一の午に実施
◎本郷・地主五社稲荷大明神 毎年不定 2015年は2月23日に実施
◎歌舞伎座や深川江戸資料館でも、初午祭の地口行灯を見たことがありますが、今はどうなんだろう?
◎浅草寺へ続く仲見世通り交差する「伝法院どおり」の街灯がこの地口行灯をイメージしたデザインになっています。こちらは、いつでも眺めることが可能。

◆地口行灯について少し詳しく書きました初午祭の地口行灯 
◆2011年の各「地口行灯」
千束稲荷の地口行灯2011 その1
千束稲荷の地口行灯2011 その2
吉原神社の地口行灯2011                   

◆今日は、2015年2月22日/旧暦1月4日/睦月己巳の日
◆日の出 6時21分 日の入17時29分/月の出 8時16分 月の入21時19分