7月12日に「草市」が立ち、人びとは、盆の道具をそこで求めた。その役割は今、街の商店やスーパーに引き継がれ、「草市」の名は街のお祭りとなっているみたい/7/12=旧5/27・己丑

6月晦日の「夏越の祓」を終えた東京は、もうお盆の準備です。

街の花屋や八百屋、そしてスーパーにも店先のいちばん目立つところには…。

真菰とほうずき

「真筵(まこも)」「蓮の葉」のセットやほうずき。
これらは、お盆にご先祖さまをお迎えする精霊たなに飾る道具。
手前にあるベージュ色のモノは、迎え火&送り火を焚くための「麻幹(おがら)」です。

セットの中身には、藁で編んだ馬&牛なんかもきちんと揃っております。

馬と牛

精霊だなには、まず「真菰」を敷き
→そこに蓮の葉を器代わりにお供えを置き、牛や馬を飾る。

この牛馬は、ご先祖さまの乗り物で、早い馬に乗って帰ってきて、太った牛に乗ってゆっくりあの世へ戻ってゆくためのもの。

ちなみに、真菰(まこも)には、もっと重大な意味があって、昔々、お釈迦さまが、筵(こも)の上に病気の人を寝かせたら、回復したという言い伝えがルーツ。

それが転じて、真菰を敷いて、先祖を迎えるにあたって神聖な場を作る…という意味を持つ。

この時期、ステキ!と思うのは、お供えの野菜や果物。

単に季節の野菜にほうずきを添えたってだけなんですが…。

お供え

今年いちばんに見つけたのは、茄子に、ピーマン、人参、さといも
…大きい緑のものは、きゅうり? と思ったら、なんとズッキーニでした。

お供え終わったら、トマトを足して、ラタトゥイユとか作れそう?

これらが、小さな籠に入れられ、たくさん並んでいると、どうもカワイイ。

お供えの野菜がたくさん

こっちなんかは、単にフルーツをほうずきとともに盛って、「お盆」のシールを貼っただけというのに…。

フルーツ

やっぱそそるなぁ…。

ただし、惜しいのが籠。
これが、自然のものだともっといいんだけどなぁ~。
あるいは、せめて紙製とか?

東京のお盆は新暦盆。

東京地方のご先祖さまたちは、盆の入りの7月13日の迎え火を目印に帰ってきて。
14日・15日は現世に滞在。
16日は送り火に見送られてお帰りになる。

古くからここに住まう方の多い、東京下町は、特に、その準備で余念がなく、7月13日の夕暮れ時に遠回りして徒歩で帰れば懐かしい迎え火の光景にも出会えます。
16日には、同じように送り火が。
明けて17日には、上野の不忍池で、ご先祖さまをお送りする灯篭流しも予定されているみたいです。

とうろう流し

江戸東京でが、かつて、7月12日も重要な一日。

この日は、夜から翌日に、盂蘭盆に供える草花や飾り物などを売る「草市」というのがあった。

その市は、江戸時代がもっとも盛んだったのが、明治維新後数が減り、それでも昭和の初期ぐらいの最近まではあったんだとか。
つまり、上の写真みたいな盆の道具が、ずらり並んで、ひとびとは、それを求めて繰り出した…ってコト?

ああ、私もどうせなら、そうゆうところで盆の道具やお供えをあつらえてみたいなぁ!
…と思うけど、今は昔。

まだ、月島のあたりとか人形町とかで細々つづいているみたいだけれど、なんとなく町内のお祭りといった感じに変化して、残っているのは「草市」という名前のみみたいです。

でも「草市」…って、なかなかステキなネーミングですものね。
この名前だけでも、ずーっと残ってほしい気もします。

さて、私は東北の出身。
実家のお盆は月遅れですから、故郷のお盆までは、盆の道具やお供えのしつらえがどんなにステキっ!
と思っても、東京ではただの観察者に徹するのみ。

いや、実は、観察しがいがあるほど、店ごと街ごとに、けっこう違うバリエーションなのです。

◆今日は、2015年7月12日/旧暦5月27日/皐月己丑の日
◆日の出4時34分 日の入18時59分/月の出1時17分 月の入15時18分