七十二候は「乃東生(なつかれくさしょうず)」の時期です。(12月22日~25日)
「乃東草(なつかれくさ)が芽吹く頃」と暦。
「乃東草」は、「夏枯草(かごぞう)」とか「靫草(うつぼぐさ)」などの名で植物図鑑にちゃんと載ってる草。
古い暦は、この花が咲く頃に、芽生えるとされる今頃に…と、2回も登場させる。
なのに、街暮らしの私は、まだ、この草に遭遇したことは一度もない。
まあ、でも。
遭遇しなくとも、この冬のさなかに、暦が「草が芽吹く」などというだけでも、そこはかとなく嬉しい。
ちなみに、古い暦には、この冬の日々に、来る春を思い描くような言葉が、けっこう登場したりします。
暦が「乃東生」と言ったら、眺めに行きたくなるこの場所。
今年もふと思い立って、眺めに来ました。
「Geidai Hedge(芸大ヘッジ)」。
ここは、上野公園から上野桜木町方面に抜ける場所にある東京芸術大学。
その周囲に武蔵野在来の苗木を植えた場所です。
さあて、冬の日々には、どんな変化があるだろう?
まず目につくのは、やはり美しい葉の色づき。
楓系の木が多めだけど、これがいちばん気に入りの色づき。
オレンジ色のグラデーションが美しい。
「剃刀の木」こと「錦木」は、花も実の頃も興味深いけど、色づきの頃の華やぎは格別。
きれいな赤です。
この美しいオレンジ色はなんの葉だろう?
プラタナスに似てるけど、ちょっとわからない。
この冬のさなかに、実りも花も。
花は、大好きな柊の白。
そして、真っ赤な木瓜の花。
こんな寒さの中でも花咲く種があるっていいねぇ。
木の実は、小紫。
野茨の赤い実とか。
この時期、紅葉・黄葉の華やかさの陰に隠れつつも、ちゃんと花も実もある武蔵野の樹々の面白さです。
もちろん、常緑樹もそろい踏み。
松も。
檜も。
杉も、ちゃんと植えられている。
この狭い一角に、樹々草々の奥深い世界が繰り広がる楽しさ。
そして、この先、これらの樹々が背高く育ったら、この界隈はどんな景観になるんだろう?
何年…何十年先のこの場所を想像するのも愉しい。
さあて、今度は、いつ出かけてこようか?
◆今日は、2021年12月23日/旧暦11月20日/霜月乙巳の日/月齢18.8日
◆日の出6時48分 日の入16時32分/月の出20時06分 月の入9時48分