今日から、七十二候は「牡丹華」/旧4/2・辛未

二十四節気「穀雨」は七十二候の末候「牡丹華」の5日間で終了。
次なる季節は「立夏」なので、春もいよいよ終わり、そしてその最後を飾るのが、華やかな牡丹の花となります。

「牡丹華」は、「ぼたんはなさく」と読んで、そのまま「牡丹の花が咲く」ころという意味。

そこに併せたかのように東京にある主だったぼたん苑では、ただいま牡丹の花が真っ盛り、花祭り、ぼたん祭りなどと銘打って、牡丹の花見をいざなっています。

201104上野牡丹園4

七十二候で、花の開花を告げる言葉は数多く、すでに3月11日~ 3月15日の「桃始笑」、3月26日~ 3月30日の「桜始開」と過ぎましたが、牡丹の開花で季節を表すのは三度目です。

…といっても、今年は「桃始笑」には、桃はちょっと間に合わず(楽しめる場所は東京には少ない。知っているのは神代植物園ぐらい。)、ソメイヨシノの開花宣言は3月26日でドンピシャ!でしたが、牡丹は、やや咲きすぎな感じも否めません。

201104上野牡丹園2

まあ、咲くの当て字が「華」なので、これでいいのかな?

牡丹は、奈良時代(724年)に唐から空海が持ち帰った説が有力。

なので、ゆかりの西新井大師などは、寺社としては関東一の規模を持つほど多く牡丹が植えられ、今なら境内を華やかに彩っているころです。
西新井大師の境内マップ→マップ下のボタンの写真をクリックすると咲いている場所が示されます。咲いてる場所がたくさんありますっ!)

牡丹が熱狂的に愛でられ栽培されるようになったのは江戸時代。

ということで、その時代にゆかりある場所にも、牡丹は艶やかな花を咲かしております。

おススメなのは、浜離宮と上野東照宮のぼたん苑

ここに掲載の写真は、全部東照宮の牡丹ですが、特に、新緑を背景に白い番傘をさした様子がかわいいです。

201104上野牡丹園3

正月には同じ場所に寒牡丹が咲いて、霜よけの藁囲いに包まれ雪ん子みたいに初々しいと思ったばかりのような気がしますが、初夏の今ごろともなれば、牡丹は、地面を覆うようにたっぷり枝葉を付けて、その中央に堂々大輪の花。
赤や桃色、白、紫…と花咲かせ、そこに華やか美人が集団でいて、それがいっせいにパッと笑ったようにも見えてなんだかココロ踊りもする風景。

牡丹の頃は、気持ちよい五月晴れの日も多く、木々の間に抜けた空が青空ならば、ここは、文句なしに気持ちよい場所です。

牡丹の観賞時間を古人に聞けば…

牡丹の伝来元である中国の宋の時代。
宋随一といわれた詩人・蘇軾(そしょく)は、牡丹は観賞時間が非常に重要だと提言したそうです。

曰く「牡丹を見るのは巳(み)の時がよい。巳より後は花が開きすぎて花の精神が衰えて力なく麗しくない。午(うま)の時より後に見るのは牡丹というものを知らないからだ」。

十二支で表現された時刻はちょっと注意が必要で、まず、その季節の日の出を「卯の時」、日の入りを「申の時」として、その間の時間を等分し、順次、辰・巳・午・未の時とふってゆきます。

牡丹の咲く今ごろは、大雑把に日の出が5時ごろ、日の入りは18時半ごろとすれば、午の時は、正午ごろ、巳の時は、だいたい午前10時ぐらいでしょうか?

201104上野牡丹園1

つまり、昔の人の提言にならえば、牡丹の花は午前中に観賞するのが正しいということ。
牡丹をよりいっそう美しく堪能するなら、ぼたん苑へ足を運ぶ日は早起きをしてということですね。

実際に、昨日は、早起きをして開苑時間の9時にぼたん苑へ。
…と、もうすでにたくさんの花見客がいて、驚きです。

みんな、宋の詩人・蘇軾にいざなわれたのでしょうか?

◆今日は、2014年4月30日/旧暦4月2日/卯月の日