今日は、二十四節気の「小満」です。/旧4/23・壬辰

季節の巡りは、早いモノで、もう二十四節気は小満へ。

いつもの『暦便覧』には、「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されていて、盈満とは、「物が満ち溢れる」の意味。

ひと月半前の「清明」で、季節は、木々の芽吹きや花々の開花を向かえ、成長のスタートラインにたった植物たちは、次なる「穀雨」の恵みを受けつつ、やがて「立夏」。

夏の始まりと共に燦燦と日差しを浴びて、そして、今、満ちつつあります。

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実りがないと思っていた、ソメイヨシノにだって、小さなサクランボ(もどき)が実っています。
…大きくはなりませんけどね。

しかし、あえて「小さく」とつけたのは何故なんでしょうね?

夏の入口の今ごろに満ちるのは、たとえば麦など秋に種を蒔いた農作物。
梅やサクランボのように、春先に花を咲かせた果実というのもありますね。

つまり、これから続く様々な収穫物の第一波というコトか?
秋までの収穫物全体を考えれば、それらは、ほんの一部でもあって、だから「小さく満ちる」ということでしょうか。

いやいや、こうも考えられる。

農地を耕し糧を得て生きているなら、その収穫のあるなしは、人の生死に結びつく大問題。
その最初の収穫物の麦の穂が付き、少しずつ太ってゆくのを見て、「ああ、今年の麦は大丈夫」。
果物も青く若い実をつけていて、収穫時期にたわわに実る様子が想像できて一安心する。

その幸先のよさに喜びを感じつつ、しかし、気まぐれにも思える天候の状態によっては、まだまだ気はぬけなくて、だから「小さく満足」をする。
…とか?

「小満」の字は、そうゆう、自然の前に真摯である人々の気持ち、それまでも汲み取った言葉でもあるように思えませんか?

東京の辺りでは、麦畠も果樹園などもなくて、その成長の様子など眺めるすべもないけれど、ふと見上げたら小さな青梅が実っていました。

早春に梅の花を楽しんだ、上野の五条天神。


20110521五条天神梅の実

梅の名所としてスタートした、向島百花園の梅の木にも、青梅。
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木々の緑も、芽吹いた頃の若々しい色から存在感強い濃い緑色へかわりつつあり、初夏の日差しなどしっかりとさえぎってしまいそうです。

いつの間にか、季節は、盛夏に向かって静かに準備に入ってますね…。

ちなみに、沖縄では、次の節気「芒種」と合わせて「小満芒種(すーまんぼーすー)」という言葉がそのまま「梅雨」をさすそうです。つまり、「小満」から「芒種」の間に梅雨が来るってことでしょうか?

といっても沖縄などは、毎年、季節の言葉の存在を意にも介さず、今年も5月に入って、さっさと梅雨入りをしてしまいました。

ああそうか。
盛夏の前に、入梅、そして梅雨という、季節の節目が、もうひとつありました。
となれば、梅のシゴトにも手をつけたいし。

ゆったり構えていた日々も、夏の暑さを目前に、少しずつ慌ただしくなってゆく感じです。

◆今日は、2014年5月21日/旧暦4月23日/卯月壬辰の日/下弦