暑い暑いと暑さに追われるように過ごした夏。
先週あたり急に肌寒くなって、昨日あたりから少し暑さが戻ったモノの、やっぱり、もう秋めいています。
ふと、落ち着いてあたりを見回してみれば…。
おおっ!
ご近所の庭先からはみ出た枝に、いちじくの実が熟しております!
いちじくって漢字で書くと「無花果」
「無花果」って、葉っぱの造形も大好きなんで、あれば必ずじっくり観察する樹木ですが、たしかにこの樹に花が咲いているのを見たことはありません。
だから、こんな名前?
ホンキで、いちじくの樹には花が咲かない?
…というのは、間違いで、夏の間に小さい実の内側に花を咲かせ、外からは見えない。
というだけです。
無花果の名づけのことなら、牧野富太郎センセイに聞こう!
その著作『植物一日一題』 (ちくま学芸文庫)にあたれば、
<古人がこれを無花果と名づけたのは、その果はあるが外観いっこうに花らしいものが見えぬので、それで実際に花のないものだと思って無花果と書いたので、この無花果の字面は明の汪頴(おうえい)の「食物本草」に初めて出てくる>
のだそうで、ほらね、そのとおりです。
そして
<この果実は実は擬果すなわち偽果であって、本当の果実でない事実は素人にはわかるまいが学者にはよく分かっている>
なあんて続きます。
えっ?
「偽果」って、いちじくは果実じゃあないの?
素人にはわかるまいが…って、そんなこといわずに説明してよセンセイ!
と思いますが、文脈はまたも無花果の名の由来に戻ってしまい。
しかたないので、図書館に行って植物図鑑にも、あたってみましょう。
おおっ!無花果の実は、植物学的には実ではなくって花托なんだとか。
「花托」は、茎の先端、花をまとめて支えている部分。
ああ、だから「偽果」ね。
で、そこが実のように育つとなると、イチゴの実なんかと成り立ちはおなじってコト?
だからかどうか、やわらかく甘いなかにプチプチとした種の食感があって、それがおいしさをますところなんか
…案外似たところがありますね。
さて、無花果の実だか花托だかは、盛夏に青く大きく膨らんで、しつこい残暑のなかでじっくりと黄身がかってやわらかく甘くなってゆきます。
以前は、故郷の庭にいちじくの樹があって、それを枝から採って食べ放題。
おやつ代わりにお皿に盛って…。
まずは、目で楽しむ。
コロンとしたカタチも、半分に切った様子もなかなかに造形的。
次に皮を剥いて…。
熟れているのは、皮に包丁を少し入れてそのまま引っぱるだけですすっと剥ける。
がぶり、かぶりつくと、赤紫の粒々が現れて、これが花かぁ…とチラッと思う。
思ううちに、わしわし食べて完食。
空気が秋めいたころに、生温かいとろんとした甘さがひときわおいしい。
…ってな感じでしたが、その樹は、弱って⇒虫にやられ、今はもうありません。
無花果の実は、盛夏のころから売られているけど、やはり暑い季節には似合わない。
これは、ほんのり涼しくなった温度で味わう果物なんじゃないかと思います。
ああ、イチジクが、無性に食べたくなりました。
がっ!
庭の樹に成り放題なのに、お店で買おうとすると異様に高い!
今日、スーパーで探したら、一パック500円を越えていました。
その辺になってるモノをこの値段では買えませんね。
代わりに乾燥いちじくを買ってきました(笑)。
これは、手軽に食べられ、腹持ちが良くて、カロリー少な目。
まあ、これもおやつにはいいかしらね。
もう少ししたら、いちじくのジャムも買ってこようと思い始めているところです。(まだ近所では売っていない)
◆今日は、2014年9月3日/旧暦8月10日/葉月丁丑の日
◆日の出5時14分 日の入18時06分/月の出13時06分 月の入23時33分