9月29日は、招き猫の日…なんてあるんですね!/旧暦9/6・癸卯

招き猫の右手を上げているのは「金運招来」、で左手上げは「千客万来」の福を呼び込むといわれていますが…。

後楽園にあったまねきねこ

このように、写真のように欲張って両手を挙げてるのはどうなんでしょうか?

今日、9月29日は、招き猫の日なんだそうで、とりあえず、金もヒトも呼び込んでしまえ!と欲張ってみました。
ってことでいいでしようか(笑)。

さて、この記念日の由来。

もちろん予想に違わず、9=くる、2=ふ、9=くで「来る福」の語呂合わせです。
もしや、招き猫に発祥に由来する深いエピソードに由来する日かしら…と、ちらっと掠めましたが、そうゆうわけではありません。
そもそも、その発祥の由来は、それこそ星の…いや、存在する猫の数ほどありそうです。

東京都内だけでも、招き猫の発祥の地は、3つも!

いや、ちょっと調べただけでで、出てきたのが3つ。
…と言い換えたほうがいいでしょうか。

1.台東区・今戸神社説

特に、昨今、縁結びのご利益スポットとして非常に名高い神社。
数年前の休日に出かけて、境内が、渋谷や青山などにいそうなこぎれいな女子で埋め尽くされていて驚いた記憶があります。
賽銭箱のすぐ後ろにいきなり巨大な招き猫が2体いたり。(今戸神社のサイトに掲載されてるものをご覧ください。⇒拝殿真ん中にいらっしゃいますよ!

縁起物であるオス&メス猫が一体になった「→今戸焼招き猫」も有名です。

・由来→

江戸時代末期。浅草に住むある老婆が、貧しさゆえに愛猫を手放したところ、夢枕にその猫が立ち”自分の姿を人形にしたら必ずや福徳を授かる”と言った。
そこで老婆が横向きで片手を挙げた人形を作り、浅草寺の参道で売り出してみたら大評判だった…説。
で、その招き猫人形は、今戸の地で十六世紀から焼かれていた今戸焼によるものだった…と。

つまり、東京下町の招き猫の発祥物語のプロデューサー、江戸・今戸の庶民たちだったという、個人的には好感度が高い説です。

対して、他の二つは、武将が立役者の、由緒はバリバリ正しそうな説です。

2.世田谷区・豪徳寺説

世田谷線沿線にあるかなり立派なお寺。
境内には、猫観音を祀る招猫殿あって、その傍らには、願いがかなって奉納された招き猫たちが大勢並んで飾られていたり確かに発祥の地としての貫録は十分です。

・由来→
江戸時代前期。
ある日、鷹狩から帰る江州彦根の城主井伊掃部頭直孝の一行が、貧しい寺の前を通りかかると、猫が門前で、手をあげてしきりに招いていた。
その猫は、寺の和尚の飼い猫で、その招きぶりが珍しいと思った武士たちは、そこで暫しの休憩を願おうとする。
…と、突然の夕立&雷。
寺の和尚は、雨宿りの間、彼らを暖かくもてなし、ありがたい説法などをした。
井伊掃部頭直孝そのもてなしぶりを非常に喜び、その寺を菩提寺と定めた。

…ということで、猫が招いたことで、貧しい寺だった豪徳寺が、大伽藍をもつ立派な寺へとなったという物語になっています。

3.新宿区・自性院説

弘法大師空海が日光山に参詣の途中に立ち寄って、観音さまを供養した場所というのが自性院はじまりとかで、由緒は十分。
地蔵堂に祀られている猫地蔵尊は秘仏。2月3日の節分会にのみ開帳されます。

・由来→
時は、さかのぼって群雄割拠の戦国時代。
江戸城を作ったことで名高い大田道灌と練馬城主豊嶋佐ヱ門尉が江古田ヶ原合戦の渦中のこと。
道灌は、日が暮れて道に迷っていた。
そこに、1匹の黒猫があらわれて、道灌を自性院内に案内無事。
道灌は、そこで一夜を明かし、これをきっかけに形勢逆転。道灌が戦いに勝利する。
…つまり、猫が招いたから、大田道灌が勝利し、たぶん、この寺も手厚く保護された…というお話ですね。

ちなみに、この寺に祀られている猫地蔵尊は、その黒猫の死後、供養として自性院に奉納されたモノだそうです。

うーん、意外とどれもオリジナリティあふれる説で面白いですね。
まだありそうですが、とりあえず、この三箇所でもうおなか一杯な感じ(笑)。

東京都内でこんな具合ですから、視野を全国に広げ細かくさぐってゆけば、どれだけの招き猫発祥伝説が繰り広がっているんでしょうか?
そもそも、今日の記念日を制定したのは、日本招き猫倶楽部と愛知県瀬戸観光協会。
とすれば、瀬戸のあたりにももちろん、数々の招き猫の物語が存在していることでしょう。

招き猫の日記念で、今年は自性院へ行ってみました!

数多ありそうな、招き猫発祥の地。
それをいちいち追及すると、招き猫行脚ガイドになってしまうなぁ…とぼんやり考えているうち、いいかも招き猫行脚!
…とか、ついつい思ってしまいました(笑)。

で、コツコツ、毎年一か所ずつ訪ねてみようかなぁ…と。

ということで、今年は自性院。

最寄りは、大江戸線・落合南長崎駅ですが、我が街、谷中・千駄木界隈からだと山手線→目白駅前からバスが便利。

バス停前の市街地図には、こんなイラストがあって、迷うことなくすぐにたどり着けます。

バス停まえイラスト

参道前には、もう招き猫がいる!

招き猫

石塔にも猫地蔵の文字。

石塔

「猫地蔵霊場」に、「子育猫地蔵尊」…ああ、子育て地蔵さんなのですね。

奥へ奥へとお邪魔すれば…。

ありました!猫地蔵堂!!

猫地蔵堂

中を覗くと…。

猫地蔵堂内部

招き猫がたくさんいらっしゃいます!中央の赤い厨子の中に猫地蔵尊がいらっしゃるのかな?

猫地蔵堂のとなりには、自性院の山門。
自性院 山門
ああ、風情のある光景ですなぁ…。

ふーむ。
ここまで見ちゃうと、やっぱり、猫地蔵さんの御開帳も気になります。
実は、2月の節分会も毎年違うお寺や神社へ行くのがマイルール(苦笑)、来年はこちらにお邪魔するしかないって感じですねぇ。

招き猫発祥説考

と、こうして、実際に由来ある場所へ出向けば、その本物ぶりに興味津々。
たぶん、発祥の地とされるいずれの場所もこんな凝りようなんでしょうねぇ。

招き猫人形は、姿カタチが可愛い上に、ご利益多数、本物の猫同様に、いつも人々のそばにいてなじみも深い。
とすれば、たったひとつの招き猫が作られてそれが全国に広がったというよりは、あちらこちらで、自然発生的に生まれて、ときどき融合などもして、今に至るというほうが考えやすい。
そこに、せっかくだからと、さまざまな発祥伝説が(たぶん)創作されることとなったのかもしれません。

そういえば、海外に旅して、土産に小さな招き猫をプレゼントすれば、「日本の猫を飼うと幸福がやってくるんだって?その代わりの人形でしょ?」と、微妙に違って、かなり大雑把なお話に発展しておりました。

日本での発祥の最初も、たぶんこんな具合に作られ、ときどき洗練されながら、広がって行ったということでしょうね。
ふーむ。
面白いなぁ。

◆今日は、2014年9月29日/旧暦9月6日/長月癸卯の日
◆日の出 5時34分 日の入17時29分/月の出 10時02分 月の入20時37分