福島の母の家では、「庭の柿の樹に100個以上の実がなって、柿とりが忙しかったぁ~」とか。
「渋とりの始末がまたたいへんで…」とか。
そんな話を聞いたのは、10月に入ってすぐだったかと。
東京の路地の柿はといえば…。
おっ!実ってますか?!
うーむ、まだちょっと熟しきれてないみたい。
でもころあいです。
…って、別にこれをちょろまかすとかいうのではないですよ。
都会の路地に柿実る頃、スーパーの棚の柿の旬。
柿の木は、東京の庭木にも案外多く、その実がオレンジ色がかってきたなぁと思うのが10月上旬。
となれば、そろそろフルーツのコーナーなどに顔を出しはじめるけどまだ高い。
庭木の柿が熟すまでもうちょいとなるのが、中・下旬ぐらいで、となれば、けっこう大きな1個が100円もしない、やや投売り状態になります。
ときどきゆり戻しもあるけれど、暑さがやっと去って、柿の美味しい季節になりましたので、さっそくドサッと買ってきました。
夏から秋へつなぐ葡萄や梨の季節も短いけれど、柿の旬も同じぐらい短い。
そろそろほかの果物はさておいて柿食いにせいを出さねばなりません。
ところで、我が家近くのスーパーで売られる柿は、近いところが静岡産、あとは、和歌山や奈良とか、遠く福岡からのものもあり、西からやってきた四角い甘柿が優勢。
しかし、今頃、列車に乗って東北をめざせば、刈り入れすんだ田圃の向こうに、オレンジの実が鈴なりになった柿の木を何本も何本も。
この柿の生る木がなければ秋の東北の農村風景は成立しないかのようでもあって、なのに、東京地方で東北県産の柿を見るのはちょっと稀です。
実際、収穫量を調べてみれば、和歌山県、奈良県、福岡県三県で、全生産量の半分を占め、東北は山形と福島で数%。市場に回る柿は、やっぱり西から来るもののようで、車窓をあんなに飾ってもいるのにちょっと不思議な気がいたします。
といっても、車窓からみる東北の柿は、個々の民家の庭先に育っているモノ。
それが存在感をもつほどにあるということは、もしかして、東北の柿は、わざわざ買って食べるものではなかった?
→出荷用には作らない
→スーパーには少ない。
…ってこのなのかな?
柿の学名は、「KAKI」
柿は、日本原産の果物。
学名にもDiospyros Kaki(ディオスピロス・カキ)と「KAKI」の名がそのまま使われているのを知っていますか?
ただし、それと、今のものとはやや品種が違うと聞いてちょっと残念。
現代に連なる柿は、奈良時代あたりに中国から渡ってきたものなんだとか。
それでも、柿は、砂糖が無かった頃の代表的な甘味でもあり、砂糖が入ってきた後も単なる果物で終わることをせず、日本人は、さまざまに利用してきた歴史があります。
・柿渋を紙に塗ると耐水性があることを見つけ→和傘の表面の塗装材に活用
・柿渋染め→今でも人気の染色方法
・葉っぱ→柿の葉茶などで愛飲されたり、殺菌効果があると押し寿司をまいて柿の葉寿司に。
・保存用の干し柿→地方によって、さまざまに加工方法が工夫され、各地の特産物にもなった。オレンジの柿を一斉に並べて干す光景は、秋の風物詩のひとつでもあります。
さあすが、学名に「KAKI」と入るだけのことはありますね。
さてさて、もう少しすれば、都会の柿の木も収穫の季節。
スーパーや八百屋の店先の柿が安くなれば、昨日までは鈴なりになっていた路地の柿も、収穫をされるころです。
そして数日後には、小さな窓やベランダにつるされたささやかな干し柿つくりに出会います。
翻って、寂しくなった柿の木を見上げれば、ちゃんとひとつ柿の実も残されている。
来年も豊作でありますようにと願いを込めて「木守り」の柿を1つ残す。
東京であっても下町の界隈には、ちゃんと柿採りの作法が息づいております
◆今日は、2014年10月27日/旧暦 閏9月4日/長月辛未の日
◆日の出 5時58分 日の入16時52分/月の出 8時55分 月の入19時25分